バルセロナ、ブラジル…「大量失点のケミストリー」(2)「運命を分けるスコア2−0」の画像
3点目となるゴールを決めて喜ぶニャブリ(バイエルン・ミュンヘン)とバルセロナGKのマーク・テア・シュテーゲン 提供:UEFA/Panoramic/アフロ

※前編はこちらから

それは、まるで悪夢のような90分だった。FCバルセロナバイエルン・ミュンヘンに信じがたいスコアで大敗した。なぜこんな惨劇が起こってしまったのか。大量失点の原因を分析し、回避するための処方箋を探る。ピッチに立つ選手たちはもちろん、スタンドから声を送るサポーターたちにもできることがある。

■選手たちの心にエアポケットができた

 文化とメンタリティーだけで「大量得点のメカニズム」を語るのは早計だ。大量得点の裏には「大量失点」があり、「大量失点のメカニズム」がある。

 2014年ワールドカップの準決勝、ベロオリゾンテでブラジルがドイツに1-7で叩きのめされた試合を見ながら私が感じたのは、ブラジル選手たちの「心の落とし穴」だった。

 前半11分に先制点を許した後も、その失点がCKからのものだったので、それほどのショックはなかった。しかし前半23分の2点目が大きな打撃となった。得点者はミロスラフ・クローゼ。彼はこの大会のガーナ戦で1点を挙げてブラジルのロナウドがもつワールドカップの通算得点記録(15点)に並んでおり、この得点で単独1位に躍り出たからだった。ロナウドのためにもクローゼだけには得点させないと意気込んでいたブラジルの選手たちの心にエアポケットができた。そしてなんと24分、26分、29分と失点を重ね、気がついたときには0-5という取り返しのつかないスコアになっていたのだ。

 バルセロナにも「心の落とし穴」があったかもしれない。前半4分に先制されたものの7分に相手オウンゴールを誘い出して同点とし、その後は圧倒的に攻め続けた。だがバイエルンGKマヌエル・ノイアーの好守などで逆転ゴールを挙げられないうちに、21分、自陣でボールを奪われてバイエルンに勝ち越しゴールを許す。そのショックのなかで、27分、31分と連続失点し、前半のうちに1-4と差を広げられたのである

 ハーフタイムに頭を冷やし、後半、ルイス・スアレスの見事な突破から2点差に追い上げるゴールを決めたところまではよかった。しかしその6分後に相手左サイドバックのアルフォンソ・デイビスにゴールライン沿いに侵入を許し、そのパスを右サイドバックのヨシュア・キミッヒに決められて5点目(2-5)になると、バルセロナはそこで再び闘志をくじかれた。終盤、バルセロナは、バイエルンが82分、85分、そして89分と立て続けにゴールするのを、ただ見ているだけだった。

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