■選手の能力を引き出す長谷川監督のポジティブさ
これだけ何人もの、“出来上がった”選手たちが成長を遂げてきているのだから、これはけっして偶然の出来事ではない。そこには、監督を務める長谷川健太という指導者の能力があるのであろう。
長谷川というのは、とにかくポジティブな監督だ。逆転負けした試合の直後の記者会見などでも、いつも笑顔を絶やすことなく、沈着冷静でちょっとしたユーモアを交えた受け答えができる。こうしたタイミングでは、当然気持ちとしては悔しいはずだし、感情的になるのも当然のことだ。実際、中には公式会見の場でも感情を抑えきれずにグチのようなことを述べる監督もいる。
長谷川監督も実際はかなり負けず嫌いな性格だから、悔しさを秘めていることは表情から読み取れるが、それでも冷静さを失わずにポジティブな話ができるのだ。それも、無理して冷静さ、ポジティブさを装うのではなく、自然に表情を作れるところが人間性を表している。
選手たちに、自分たちでも気づいていないような能力に気づかせ、積極的にプレーしようという気にさせることができるのも監督のそうしたポジティブな性格によるものなのだろう。常にポジティブで、否定的なことを言わない監督の下であれば、選手たちはミスを恐れることなく思い切ったプレーができる。大きな意味でのアドバイスはするが、細かなことは言わない。それが、長谷川健太という指導者なのだろう。