バルセロナ「2対8」リスボンの悲劇と“救世主”メッシの限界(1)セティエン監督の失敗の画像
バイエルン戦後のメッシ 写真:代表撮影/ロイター/アフロ

 またしても、バルセロナのビッグイヤー獲得はお預けとなった。

 2019-20シーズンのチャンピオンズリーグで準々決勝に進出したバルセロナだが、バイエルン・ミュンヘンに敗れてベスト8敗退が決定した。それだけではなく、2-8というショッキングな大敗がバルセロニスタの胸をえぐっている。

■問題は山積み

 監督交代、「バルサゲート」の問題、選手とクラブの対立、選手とコーチングスタッフの衝突...。2019-20シーズンは変化の連続だった。

 バルセロナは2020年1月にエルネスト・バルベルデ前監督と契約解除を行っている。実質上の解任だった。スペイン・スーパーカップ準決勝でアトレティコ・マドリーに敗れ、決断が下された。また過去2シーズン、バルセロナはチャンピオンズリーグのローマ戦とリヴァプール戦で逆転負けを喫していた。クラブ内におけるバルベルデの信頼は薄れていった。

 バルベルデの解任が不可避だったというのであれば、重要なのは後任の選定だろう。だがバルセロナはシャビ・エルナンデス監督やロナルド・クーマン監督に就任のオファーを断られている。そして選ばれたのがキケ・セティエン監督だった。クライフイズムの信奉者として知られる指揮官を招聘したのはポゼッションフットボールへの回帰を目指すためだ。

 しかしながらセティエンはピッチ上でクライフイズムを注入する以前に、ロッカールームのコントロールに苦しむことになる。激情型のアシスタントコーチであるエデル・サラビアの存在が事態を複雑にした。ある試合の給水タイムにリオネル・メッシがサラビアの指示を無視しているシーンは象徴的だった。セティエンが選手マネジメントに失敗しているのは明らかであった。

※後編につづく

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