■高まる久保の価値
久保が、近い未来にレアル・マドリーのトップチームで活躍するーー。当然ながら、そんな画をイメージしたくなる。だが、その画はまだ鮮明に描かれるべきではない。
そもそもマドリーは選手を育成するクラブではない。そこは留意すべき点だろう。事実、今夏マドリーはアクラフ・ハキミを移籍金固定額4000万ユーロ+ボーナス500万ユーロでインテルに売却している。2006年からカンテラに所属していた選手を14年後に売った格好だ。それがフロレンティーノ・ペレス会長のやり方なのである。
ゆえに、将来的に久保が売却される可能性は残っている。そうなったとしても決してネガティブな出来事ではない。マドリーとしては、元々、久保は移籍金ゼロで獲得した選手である。その選手が高額で売却された場合、差額でマドリーが得る収益は少なくない。それはむしろ、スペインとヨーロッパにおける日本人選手の価値を高めることに繋がるはずだ。
マジョルカでの活躍で、久保の市場価値は上昇した。ビジャレアルで好パフォーマンスを見せれば、その価値は飛躍的に高まるだろう。「レアル・マドリーではスポーツ的側面と財政面の両方が重視される」とは、ジネディーヌ・ジダン監督の弁だ。我々もまた、ジダンの言葉を頭に留めながら久保という選手を追っていかなければいけない。