チームとしての課題は、クロスからの失点だ。9失点のうち、5つがクロスからの失点である。左右に大きく振られて、中央で決められる――FC東京戦の1失点目、柏戦の2・3失点目が典型的なパターンだ。
これはシーズン前のトレーニングマッチから言われている課題だ。普段の練習メニューでも、「サイド攻撃」の練習だけでなく、クロスを上げられてからの処理、あるいはそもそもクロスを上げさせない「サイド守備」の練習も繰り返し行っているが、改善には時間がかかりそうだ。
それとともに気になるのが、イージーミスだ。中盤でのイージーミスが致命的なものなり、失点につながる――FC東京戦の2失点目がその典型例といえよう。66分、MF青木がDF岩波からのパスをトラップミスしてしまうのだが、それをFWアダイウトンにかっさらわれ、そのままドリブルで運ばれてゴールポストに突き刺されてしまった。
ぽっかり空いたスペースを進むFWアダイウトンに浦和守備陣は虚を突かれたのか、対応した3人は誰も守備に行けず、ズルズルDFラインを下げるのみ。そのままあっさり決められてしまった。
できるだけ中盤のスペースを埋めようとボランチの2枚だけでなく、前線の選手が下りているが、後ろに広大なスペースを背負っている以上、イージーなミスはできるだけ避けたいところだ。
大槻監督が目指すサッカーと照らし合わせると、現状、得点シーンはクロスあるいはセットプレーからの得点が多く、指揮官の言う「主体的なサッカー」はわずかしか表現できていない。それが出せたのは柏戦の前半と横浜FC戦の前半くらいだから、道半ばといっていい。
それでも4勝を挙げられたのは、選手の個人能力が高く、さらにその選手層が厚い浦和だからかもしれない。
辛勝あり、惨敗ありの連戦を、大槻監督は「再開後の6試合で見えてきたものを来週からの準備、その次の試合につなげるようにみんなとしっかりやっていきたい」と抱負を語った。
今週末に行われる、清水エスパルス戦から8月の公式戦7連戦が始まる。
試合に次ぐ試合でメニューはコンディション調整に時間が割かれ、十分な練習ができない中、狙いとするサッカーに近づけるか。
勝負の真夏の連戦が始まろうとしている。