一方で、7試合8ゴールといささか少ない得点が課題だろう。内訳を見ると、FWレオナルドが3点、FW興梠慎三が2点と寂しい数字となっている。
得点の少なさとともに、攻撃のバリエーションの少なさも気になる。
1試合のシュート本数は平均12本とそれなりにチャンスは作っているが、武器である左サイドの崩しを封じられると展開力が半減。前線で徹底マークにあうFW興梠につながらなくなることで、攻撃の選択肢を広げることができない。そうなると、独力での得点力に秀でたFWレオナルドに頼らざるを得なくなり、連携面の乏しさを個人能力で補完することになってしまう。
加えて、最後方からのゲームの組み立てがいまひとつ拙いことも、得点の少なさに影響しているだろう。
FC東京戦後、GK西川周作が「次の段階として、引かれた相手をどう自分たちが崩していくか、シーズンを通して、もっともっとやっていかなければならない」と言及したように、「ゴール前を固められてもボールを保持しながら攻める」=「遅攻に磨きをかける」ということが、得点力アップの近道となりそうだ。そして、「遅攻にみがきをかける」ことは当然、左サイドに偏りがちな攻撃のアンバランスさの是正をも意味し特定の場所に、対策を練りにくいチームになることも意味している。
攻撃に続いて守備に目を向ければ、無失点に抑えた試合が3試合とまずまずの状況といえるのではないだろうか。
最大の変化である4バックへの移行で、センターバックが3人から2人に減少。他チームに比べて厚い選手層のこのポジションに、さらに激しい競争が生まれた。
シーズン前は、DF岩波拓也とDF鈴木大輔が軸になると見られたが、今季加入のDFトーマス・デンがポジション争いに刺激を与えている。デンは冷静な判断と素早いカバーリング、正確なボールさばきができる、まだ23歳とは思えない逸材だ。横浜M戦、仙台戦、鹿島戦と3試合連続先発出場し、ピッチの上で力を存分に見せた。
現在は戦列を離れてリハビリ中との情報だが、復帰後に期待したい。
期待の若手の抜擢に、ベテラン勢も負けていない。
横浜FC戦では槙野、鈴木がそろって先発出場し、見事、無失点に抑えた。槙野がSNSで発した言葉を拝借すれば〈槙野はまだ死んどらんぞ!くたばってたまるか〉。33歳の意地を見せた。