■FIFAとUEFAの戦い
――それでは、UEFAがコロンビアに投票したのは予想通りだったのですね。
はい、予想通りだったからこそ撤退せざるを得なかったのです。FIFAとUEFAでは意見や利害が異なっていることが多いのは皆さんもご存じの通りです。CONMEBOLはそこで、ちょうどFIFAと良い関係だったのが、去年くらいから多少いろんなことがあって……。
――FIFAは過去にW杯の持ち回り制(ローテーションシステム)や、同一大陸からの立候補を認めないなど規約を作ったかと思ったら、すぐに廃止するなど「朝令暮改」の傾向が強い組織です。
そうですね。共同開催も非常に広く進めてきました。最初からその思惑はあったのかなと、私は最初に思ったのですけど、実はFIFAはそこまで思っていなかったようです。ただ、コロンビア(ブラジルが辞退したことでCONMEBOLは候補を1本化)の台頭により対立構造が生まれ始めたことによって、逆にアジアは1つにしないといけないというような方向だったり、21年に女子の五輪を東京でやって、23年、その1年開けて「また同じ世界1を決める大会を日本でやるのか」と、(FIFA理事は)そういう考えになったりしてしまったのも事実です。
――オーストラリアはアジア枠に入っています。日本とオーストラリアでアジアからの立候補は1本化した方がいいという意見はなかったのでしょうか。
最後に出てきました。五輪が1年延びたことによって。それと対立軸がはっきりしたことによって、そういう意見が出てきました。
――現在FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長は、元々はUEFAの事務局長を務めていました。にもかかわらず、いまのアレクサンドル・チェフェリンUEFA会長と対立している理由は何だと思われますか。
やはりそれぞれが主張するところで、意見や利害などで対立してしまうのでしょう。特にクラブに対しての感覚で言えば、UEFAと南米はクラブの力がものすごく強いわけですよ。で、それに対してFIFAがクラブの大会をやろうとする時に、そこでコンフリクト(対立)する場面がすごく多くなってきたので、これは致し方ないかなと思っています。特にUEFAは収入の面でもFIFAを上回っていますから。