第1次サッカーファミリーの支援策は6月で終了し、7月からは第2次の支援策が始まる。そこで今回は、来夏に延期された東京五輪のこと、日本が辞退したことでオーストラリア/ニュージーランドの共催に決まった2023年女子W杯招致の裏側、日本サッカーの拠点になる「JFA夢フィールド」の完成とその意義、そしてコロナがもたらしたサッカー界の変革などについて忌憚のない意見を聞いた。
(取材・文 六川亨)
■女子W杯の招致について
――次に女子のW杯についてお伺いします。日本は2023年の開催に立候補しましたが、直前で辞退しました。そしてFIFA(国際サッカー連盟)理事による投票の結果、オーストラリア/ニュージーランドの共同開催に決まりました。こちらは順当な結果とお考えですか。
残念ながら、純粋に、どこで開催するかどうかを投票していただける環境であれば、日本も残っていても良かったかもしれません。勝てるか勝てないかはわかりませんけど。(コロンビアとの)三つどもえになっても良かったと思います。
ところが票数をご覧になったと思いますが、UEFA(欧州サッカー連盟)の9票が全部コロンビアに投票されました。そしてCONMEBOL(南米連盟)の票の全部、合計13票がコロンビアに入りました(オーストラリア/ニュージーランドは22票)。実際、読み通りの投票結果でした。
それを考えると、やはり政治的な動きになってしまったというのが結果からもおわかりだろうということです。もしも日本が出ていたら、ゼロ票だったか1票だったかわかりません。私は投票できませんから。そういう意味では、日本は撤退せざるを得なかったということです。これはメディアの皆さんにも説明しましたし、理事会のメンバーにも了解をいただくなど何度も会議をしました。
よほどサッカーのことでいろいろと決断する方が簡単だなと思ったのも今回の招致活動でした。でも、結果的にこうやったこと(辞退)が日本サッカー協会にとってプラスになると思っていますし、多くの皆さんから賛同をいただけました。
ベニュー(開催地)の首長さんたちとも相談するなかで、政治的なことではなく、「(コロナ禍の)いま辞退されることを反対する者はいないと思います」と事前に言っていただきました。いろいろと準備してきただけに、残念な部分はあります。特に女子W杯の招致に期待していた選手たちには申し訳ないと思いますけど、(投票で)惨敗するよりも、ここで撤退したことの方が将来につながると判断しました。
――いま「純粋に」と言いました。これまでのFIFAの歴史では、UEFAとCONMEBOLは対立構造になることもありました。それが今回は、UEFAの票がすべてコロンビアに入りました。その背景には政治的な思惑があったということでしょうか。
つまり、(両者にとって)敵がFIFAになったということです。それで敵の敵は味方になったのです。