■FIFAとの対立について補足説明

 これには多少の説明が必要なので補足したい。FIFA第7代会長(1974~1998年)のジョアン・アベランジェ(アルゼンチン)は、W杯を商業化することで財政的な安定をもたらすと同時に、W杯の拡大路線を進めた。70年メキシコW杯は参加16チームだったのが、82年に24、98年フランス大会で32(おかげで日本も初出場)、26年アメリカ/カナダ/メキシコの3カ国開催では48になる。アベランジェ会長は普及にも力を入れ、U-20W杯などアンダーカテゴリーの大会やトヨタカップ(現クラブW杯)なども創設した。

 しかし、長らく続いた独裁体制とFIFA理事の汚職などからUEFAと対立。その“代理戦争”ともなったのが02年W杯開催国決定で、日本開催を推すアベランジェ会長に対し、レンナート・ヨハンソンUEFA会長は韓国との共催を求めた。結果はヨハンソン会長の提案をアベランジェ会長が受け入れることで投票を避けつつ、アベランジェ会長の2年の続投が決まった。

 UEFAにとってW杯の次に重要なのはEURO(欧州選手権)であり、クラブチーム欧州NO1を決めるCL(チャンピオンズリーグ)である。CLは毎年開催され、テレビ放映権など莫大な利益をUEFAにもたらす。一方FIFAは、4年に1回のW杯でしか利益をあげられない(その他の大会は赤字のため)。このためFIFAがクラブチームによる大会の開催を考えるのは当然の結果だった(21年より4年に1度、17年に廃止になったコンフェデ杯の代わりに24チームによるクラブW杯を中国で開催する予定)。

 CLという“キラーコンテンツ”を持ち、財政面も盤石なUEFA(ビッグクラブ)にとって、FIFAが創設した大会は選手の疲労を招く足かせでしかない。同じことは、欧州各国に選手を供給する南米にも当てはまる。かくしてFIFAとUEFAは長らく対立構造にあり、CONMEBOLはFIFAとつかず離れず、うまく利用してきた(14年ブラジルW杯開催など)経緯がある。

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