■コロナがサッカー業界に与える変化

――会長ご自身は男女ともメダル獲得を目標に掲げていました。それは1年延期でも変わりませんね。

 変わりません。もちろん、いい色が一番いいですけど、ただ、あまりそういうことは口にすべきではないと思っています。メダル獲得には運も必要ですし、やはり金を取って欲しいと皆さんはご期待するでしょう。でも、ますはメダルを目指すということが大切だと思います。

――コロナは日本のサッカーだけでなく、世界のサッカー界にも多大な影響を与えています。今後、コロナの影響でサッカー界にはどのような変化が訪れるとお考えですか。

 まず大きく変わるのは、収入ですよね、スポンサーとかの。観客がいまは入ることができないので、チケットセールスも含めて収入は大きく変わるでしょう。

 ただ、我々が覚悟しなければいけないのは、今までのような高額な放映権料だとか、スポンサーセールスの収入が、「入ってくるのが当たり前」と思っていたら、これは大間違いになってきます。そういうことを理解しなくてはいけないし、それに合った形で我々も様々な事業を見直していく必要はあると思います。

 ただ、例えば非常時は「webで何でもできるじゃないか」とか、「じゃあ無観客で」ということもあるかもしれません。しかし、やはりサッカーとかスポーツのいいところは、直接コミュニケーションを取ったり、皆が肌で感じたりするのがスポーツの素晴らしさであって、これは忘れてはいけないし、いつかは戻って来るものだと私は思っています。むしろそうならなければいけないと思います。

 そして、こういうことが起きても大丈夫なような強い協会でなければいけないし、リーグでなければいけない。そういう意味でも、例え収入が下がったとしてもやれるようなことはきちんと考える必要があります。それに合わせてサッカーの価値を高めていって、多くの収入を得られるようにできるのであれば、それに越したことはないとも思います。

 いま一般企業の方々もたいへんな打撃を受けています。そういう打撃を受けているときに、自分たちだけが今までと同じようなわけにはいかないということを覚悟しなければいけません。

――一般企業も打撃を受けているということですが、一般企業がまず経費の削減をするとしたら広告宣伝費になるのではないでしょうか。サッカー協会は各スポンサーと複数年契約を結んでいるかもしれませんが、コロナの影響をどう予測しますか。

 我々も皆さんと同じように、この危機をスポンサーの方々と一緒に乗り越えていかないといけないと考えています。私たちはまず私たちの職員、そしてフットボールファミリー全体、47都道府県のすべてに責任があると思っていますので、サッカー界をしっかり守れるような体力は残さなければいけないと思っています。

※第2回に続く

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