J1再開「新生・ベガルタ仙台」“追い風”好発進! 開幕戦と別次元の衝撃!の画像
ベガルタ仙台が湘南ベルマーレに勝利 写真:森田直樹/アフロスポーツ
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J1リーグ第2節  湘南ベルマーレ 0―1 べガルタ仙台
7月4日(土)|BMWスタジアム

 約4か月ぶりに再開したJ1。開幕戦とはまったく異なる姿を見せたのが、仙台だった。

 アウェーに乗り込む仙台について、開幕戦の4-4-2とは異なる4-3-3で挑むと見られたものの、3トップと中盤3枚の構成は予想するのに困難を極めた。 

 結局、この日のスタメンは、長沢を1トップに、右ウイングにジャーメイン、左ウイングに西村。中盤インハーフに、松下と関口が並び、アンカーを椎橋が務めた。

 左SBには開幕戦に先発した柳ではなく、石原が。怪我で戦線を離れたシマオ・マテの代わりを、吉野が務めた。そしてこの日の最大のサプライズは、GK小畑の先発だ。シュミット・ダニエル移籍後の守護神を務めてきたスウォビクが戦線を離れていたが、その代役に入団したばかりの18歳が抜擢されたのだ。そしてこのユース出身選手が、驚きのプレーを見せることとなる。

 雨が降り、強い風が吹き、ピッチもスリッピーな序盤、まず攻めの姿勢を見せたのは湘南だった。古巣対戦相手に燃える大岩が、CBながら深い位置まで攻め込むなど戦う姿勢を見せた。しかし前半2分、うまく体を反転させたジャーメインが右サイドを抜け出すと、中に右足でクロス。しかしこのクロスが、この日何度もスタジアムに吹き付けた強風によって吸い込まれたのだ。仙台にとって、望外の先制点である。

 結果だけ書けば、この冒頭の1点で仙台は勝利を掴む。だが、この日の仙台は、攻めと守りがしっかりと整備され、隙が少ないチームだった。湘南にほとんどチャンスを作らせなかったのは、3トップが献身的に戻った、あるいは、ネガティブトランジションの際に素早く複数で寄せた、などの単純なものだけではない。アンカーの椎橋が抜群の位置取りで縦パスを切りつつボールホルダーを潰しに行けば、後半に投入された指宿へのクロスに対して(推測にはなるが)しっかりとしたスカウティングのもとでSBとCBの位置取りを行うなど、選手の個性を出しつつもチーム戦術をしっかりと浸透させたからだ。

 攻撃についても、テンポ良くショートパスをつなぐ時間があれば、ショートカウンターを発動して相手守備網の破壊に挑戦するなど、多彩な攻めを見せた。シュートは湘南の11本に対し、仙台は18本。仙台が44%のボール支配率で湘南のほうがボール保有率が高かったことは、試合を見ていれば意外な数字に思えたはずだ。

 そして、チームの躍動に導かれるように、若き守護神も魅せた。前半1分の松田のミドルをキャッチすると、このファーストプレイで勢いに乗り、鈴木が巻いて放った技巧的なシュートに抜群の反応を見せ、あるいは、難しいハイボールをキャッチしてと、最上のデビュー戦を飾ったのだ。

 松下の配球、湘南の突破隊長である鈴木を完全に抑えた蜂須賀、柔らかなボールタッチと冷静な局面観察で大いなる可能性を見せたゲデスなど、好材料は数えきれない。

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