後藤健生の「蹴球放浪記」 連載第14回「オブリガード、TAM航空!」の巻の画像
スペイン対オランダ戦の入場券
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 都合35泊に及ぶ、ブラジル・ワールドカップの取材旅行で、悔やんでも悔やみきれない決断がひとつだけある。後藤さんが悔しがる、そのたったひとつの失敗とは?

■突然の予約変更

 2006年のドイツ・ワールドカップ以降、報道関係者はタダで鉄道を利用できるようになりました。“全部自腹”のフリーランスにとっては、大変にありがたいことです。そして、ロシア大会ではついに一般サポーターも(チケットを持っていれば)無料の特別列車に乗れるようになりました。

 ただ、ドイツやフランスのような国なら高速列車で全国どこにでも行けますが、最近はずっと南アフリカ、ブラジル、ロシアといった広大な国ばかりだったので鉄道だけでは回り切れません。そもそも、南アフリカやブラジルは鉄道が発達していないので無関係ですが……。そういう国では、どうしても飛行機を使うことになります(その点、次のワールドカップは“広大でない国”なので便利。ほとんどのスタジアムが地下鉄で回れます)。

 ブラジル大会でも、サンパウロとリオデジャネイロ、ベロオリゾンテあたりは高速バスで行き来しましたが、その他はほとんど飛行機でした。何しろ、日本代表の試合会場は、どういうわけかレシフェ、ナタウ、クイアバと辺鄙なところばかりだったんですから……。

 航空会社は何社かありましたが、一番お世話になったのはTAM航空でした(「TAM」の発音は「タム」よりも「タン」の方が近いようです)。

 観戦予定に合わせて綿密に移動の予定を立て、ホテルも飛行機もすべて予約を済ませ、後は現地入りを残すだけとなりました。ところが、出発1週間くらい前にTAM航空からメールが来ました。

「あなたの予約が変更になりました」という文面です。

 なんやて?

 僕は6月12日にサンパウロで開幕戦(ブラジル対クロアチア)を見てから空港に向かい、その日の深夜便でサルヴァドールに移動して、翌日のスペイン対オランダ戦を見る予定でした。見逃せない好カードでしょ? ところが、それがTAMの予約が13日の午後便に変更されてしまったのです。試合は16時開始なので、それでは間に合いません。変更になった理由も書いてありません。

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