■向こう2年間で主力の多くが契約満了に
もうひとつの壁がEU外選手枠だ。EUのパスポートを持たない選手の試合登録は3人までというこのレギュレーションこそ、久保にとって最大の敵とも言えるだろう。今シーズン、レンタルに出されたのも、これが大きな要因のひとつだった。
現在、EU外の3枠は、エデル・ミリトン、ヴィニシウス・ジュニオール、ロドリゴのブラジル勢が占めているが、ここに来シーズンは、今年1月に加入したこれもブラジル出身の18歳の超新星レイニエール、そしてブレグジットでEU外選手となるガレス・ベイルが加わり、久保を含めた6人で3枠を争奪することになる。
このうち唯一のディフェンダーで、CBと左右SBをマルチにこなすミリトンは最終ラインの重要戦力であり、外れることはまずあり得ない。
残りの2枠も、やはりヴィニシウスとロドリゴが頭ひとつ抜けているだろう。ヴィニシウスは全公式戦で32試合・5ゴール、ロドリゴは同22試合・9ゴールと及第点の成績を残し、かつ、ともに4500万ユーロ(約54億円)という高額の移籍金で迎えられている事実を踏まえれば、レンタルでも手放すことは考えにくい。
怪我を繰り返し、ほぼ貢献がないベイルはシーズン終了後の放出が既定路線だが、本人も納得する移籍先が見つかるかが問題で、受け皿がなかった場合、チームに残しておくしかない。
となれば、獲得時のコストがゼロで、前述のように移籍市場で引く手あまたの久保の再レンタルが、もっとも可能性が高いシナリオだ。
R・マドリードが世代交代の過渡期を迎えているのは確かだ。主力の多くが向こう2年間で契約満了を迎える。ルカ・モドリッチ、ハメス・ロドリゲス、ルーカス・バスケス、そしてセルヒオ・ラモスが21年6月、カリム・ベンゼマ、ベイル、イスコ、マルセロ、ラファエル・ヴァランヌ、ダニエル・カルバハル、ナチョが22年6月で契約切れとなり、この先の陣容刷新は不可避だ。それが来シーズンではなかったとしても、R・マドリードが開くその新たなサイクルの中心に、久保がいるのは間違いないだろう。