絶好調の久保建英、R・マドリード復帰に“越えるべき2つの壁”の画像
レアル対マジョルカ戦(2020年6月24日)の久保建英

 マジョルカでプレーする日本代表久保建英が好調だ。コロナ禍による中断期間が終わったラ・リーガで、再開から4試合連続スタメン出場を果たし、好パフォーマンスを連発。1分け3敗とチームは苦しんでいるが、久保は切れ味鋭いドリブル突破や直接FKなどで危険なシーンを作り出している。6月24日の31節、レンタル元のレアル・マドリード戦でも、ドリブルで3人をかわしてニアサイドに惜しいシュートを放ち、試合終盤には立て続けに背後からタックルを受け、ファウルした相手にイエローカードが出されるなど、終始脅威を与えていた。

 かつて鹿島アントラーズでも活躍した元ブラジル代表MFで、現在パリ・サンジェルマンのスポーツディレクターを務めるレオナルドが獲得に強い興味を示し、さらにアヤックス、ミラン、ラツィオ、セルティック、レアル・ソシエダ、ベティスなど、スペイン国内外の約30クラブが触手を伸ばしていると、スペイン『AS』紙は移籍市場での超人気ぶりを伝えているが、来シーズンのR・マドリード復帰はあるのだろうか。

 復帰するためには、「2つの壁」を越えなくてはならないだろう。

 ひとつはジネディーヌ・ジダン監督だ。

 フランス人の指揮官は、久保のポテンシャルと今シーズンのマジョルカでの成長ぶりは認めている。マジョルカ戦の前日会見でも、「充実したシーズンを送っている。レギュラーとしてプレーし、我々の期待に応えている。現在も、将来的にも、とても興味深いタレントだ」と、ポジティブに評価した。

 しかし、監督としてのジダンは保守的で、確実に計算できる中堅やベテランを重用する傾向にある。タイトル獲得に貢献した功労者を大切にして、いわゆる勝っているチームはいじらないタイプだ。チャンピオンズリーグ3連覇を成し遂げた第1次政権の2年半は、主力級のビッグネームを獲得することはなく、ほぼ同じ顔ぶれで戦った。フロレンティーノ・ペレス会長が主導したGKケパ・アリサバラガ(当時アスレティック・ビルバオ。現チェルシー)の獲得に断固反対し、最終的に白紙に戻してしまったとされるのは、指揮官ジダンの流儀を物語る有名なエピソードだ。

 再開後4連勝で首位に立ち、このまま宿敵バルセロナを振り切って優勝すれば、いまのチームをほぼそのまま維持する可能性が十分に考えられ、そうなれば久保の復帰は遠のくことになる。

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