■ライバルから主力を引き抜く一石二鳥の補強
カネを作り出すのが巧みなら、使い方も巧みだ。得意としているのは、ライバルチームから主力を引き抜く一石二鳥の補強で、みずからの戦力を高めると同時に相手の戦力を削いでしまうのだ。バイエルンは毎年必ずと言っていいほど国内のクラブから一線級のタレントを奪い取っている。
●11ー12シーズン
マヌエル・ノイアー(シャルケから)
●12ー13シーズン
マリオ・マンジュキッチ(ヴォルフスブルクから)、ダンチ(ボルシアMGから)、クラウディオ・ピサーロ(ブレーメンから)
●13ー14シーズン
マリオ・ゲッツェ(ドルトムントから)
●14ー15シーズン
ロベルト・レバンドフスキ(ドルトムントから)
●15ー16シーズン
ヨシュア・キミッヒ(RBライプツィヒから。※当時キミッヒは20歳で、RBライプツィヒは2部)
●16ー17シーズン
マッツ・フンメルス(ドルトムントから)
●17ー18シーズン
ニクラス・ジューレ、セバスティアン・ルディ(ともにホッフェンハイムから)、セルジュ・ニャブリ(ブレーメンから)
●18ー19シーズン
レオン・ゴレツカ(シャルケから)
●19ー20シーズン
バンジャマン・パバール(シュツットガルトから)
あからさまだったのが、8連覇前に後塵を拝していたドルトムントからの引き抜きだ。ゲッツェ、レバンドフスキ、フンメルスと攻守の主軸をヘッドハントして宿敵を骨抜きにしながら、自分たちの強化を果たしている。なかでもレバンドフスキは絶対的エースとして連覇に貢献し、今シーズンも優勝を決めたブレーメン戦で決勝ゴールを奪うなど、ここまで29試合で31ゴールと獅子奮迅の働きでチームをマイスターシャーレに導いた。
ライバルチームからタレントを引っ張ってくる補強は「ローリスク・ハイリターン」が見込める最高の強化戦略であり、それができるのも、圧倒的なブランド力と資金力を持っているからに他ならない。選手にとっても、常勝で、好待遇を保証してくれるバイエルンは理想の環境なのだ。
バイエルンの独り勝ちは、しばらく続きそうだ。