5月19日に少人数でのグループ練習が解禁となり、早くて6月19日、遅くても6月26日の再開を目指しているプレミアリーグだが、「40〜60クラブが倒産するかもしれない」と下部リーグの窮状を訴え、コロナ禍によるイングランド・サッカーの崩壊を危惧する声を上げたのが、2部ハダースフィールドのオーナー、フィル・ホジキンソンだ。
クラブの公式チャンネルに登場したホジキンソン・オーナーは、シーズン再開を歓迎しながらも、「より深刻な問題がこの先にある」と“コロナ後”の悲観を語り、「このまま無観客試合が続き、何の対策もなければ、これからの12か月間で40、50、60のクラブが倒産することになるだろう」と懸念。英公共放送『BBC』のインタビューでも、「もっと大局を見るべきだ。問題は今シーズンをどうするかではなく、その先をどうするかだ」と警鐘を鳴らし、「何らかの合意がなければ、フットボールのピラミッド(プレミアリーグを最上位とするリーグ体系)は崩壊してしまう。多くのクラブは、給与の支払いや納税の猶予で何とか凌いでいるに過ぎない」と、下部リーグのクラブの切実な財政事情を訴えた。
イングランドのプロリーグは、プレミアリーグを頂点に、「フットボールリーグ・チャンピオンシップ」と呼ばれる実質2部(24チーム)、「フットボールリーグ1」の3部(24チーム)、「フットボールリーグ2」の4部(24チーム)で構成されている。5部以下はノンリーグと総称されるセミプロ/アマチュアのリーグだ。
2〜4部を統括するEFL(イングランド・フットボールリーグ機構)は総額5000万ポンド(約65億円)の財政支援を決めているが、それでも大半のクラブは青息吐息だという。ホジキンソン・オーナーが何より懸念するのは、無観客試合による減収だ。
「ワクチンができるまで大人数が集まるイベントの開催は禁止だ。ワクチンの実用化は2021年だという。つまり、我々はこの先も収入を失うということだ。シーズンチケットは売れず、スポンサーや広告の収入もなくなってしまう。放映権料はあるが、それも減額は確実で、今シーズンについてはいくらかを返金しなければならない。700万〜1000万ポンド(約9億1000万〜13億円)の減収に、放映権料の返金が1000万〜3000万ポンド(約13億〜39億円)と重くのしかかる」
そしてホジキンソン・オーナーは、これはイングランド・フットボール界全体の問題だと訴えかける。