■すべて良し――
今だったら、スマホで運行状況を確認できますが、当時はそんな手段はありません。パリに着いてみないと416便がどうなっているかわからない……と、覚悟を決めて座席に座っていると、今度は2571便が機材トラブルのためなかなか出発しません。結局、シャルル・ドゴールに着いたのは23時53分。416便はとっくに出発してしまっていました。僕のチケットは格安券ですから、翌日の便には振り替えはできません。別にチケットを手配したら、はて、いくらかかるのか……。万事休す。
幸運だったのは2571便が1時間半も遅延してくれたことだったのでした。
つまり、2571便の遅延のせいで乗り継ぎができなくなった乗客がいっぱいいたわけです。空港ではその振り替えの手続きをやっていたんです。そこで、僕も何食わぬ顔をしてその列に並びました。
僕が416便に乗れなかったのは2571便の遅延のせいではなく、僕が時間を間違えたためですから、エールフランス航空には何の責任もないわけです。しかし、係員はそのへんの事情を分かっていたのか、あるいは勘違いをしたのか分かりませんが、あっさりと翌日の416便に振り替えてくれて、しかも空港近くのホテルも無料で手配してエールフランスのバスで送ってくれました。「明日も迎えに来ますさかい、ホテルで待っててネ~」と言って係員は去っていきました。
翌日、パリをぶらぶらしてから夕方ホテルに戻って約束の時間にロビーで待ってたんですが、エールフランスは一向に迎えに来ません。仕方がないので、タクシーでシャルル・ドゴールに向かって、416便に無事チェックイン。空港そばのホテルからなのでタクシー代も大したことはなかったんですが、時間もあったのでエールフランスのオフィスに行って、「なんで迎えに来てくれなかったんだ!」と文句を言ってみたら、「あ、すんまへん。すぐにタクシー代お払いしますわ」と言って、現金をくれたんです。実際のタクシー代より多い金額をもらったので得してしまったというわけです。
まったく、超ラッキーな旅行でした。
こうして、1日遅れの4月7日の早朝、無事にブエノスアイレスに到着したのでした。当日は何も予定は入っていませんでしたが、この日は土曜日でしたから、「何か試合をやっているに違いない」と思った僕は、エセイサ空港の売店で新聞を買ってから、空港バスでブエノスアイレス市内に向かったのでした。
(この項つづく)