欧州移籍市場への“コロナ”衝撃波!(2) 不況下で台頭する新星は?の画像
サンチョ(左)やホーランド(右)など、欧州では有望な10代がどんどん台頭している

 新型コロナウィルスは、世界中のあらゆる事象に大きな影響を与えている。サッカー界も例に漏れず、さらにはこの先、夏の移籍市場がどうなるのかも分からない。果たして欧州サッカー界は、「コロナショック」でどう変貌する可能性があるのか?

■ドルトムントの若手が当たり続ける?

 移籍市場では毎年、若き新星が飛び出してくる。昨夏であれば、ベンフィカでのプロデビューから1年でアトレティコ・マドリーに1億2600万ユーロ(約140億円)で引き抜かれたジョアン・フェリックスがその象徴だ。現在、移籍市場専門サイト『transfermarkt』で市場価値が世界最高の1億8000万ユーロとされるキリアン・ムバペも、まだ19歳だった2017年夏に、ローン移籍ながらもパリ・サンジェルマン(PSG)へと招かれた。その1年後には完全買い取りのため、史上2番目の高額移籍金となる1億4500万ユーロがモナコに支払われた。

 新型コロナウィルスの影響による経済危機で、今夏の移籍市場ではビッグネームの移籍劇には、あまりお目にかかれないかもしれない。そうした状況で、若きタレントの輝きはさらに増す可能性が高まる。

 現在、移籍市場をにぎわす若手の筆頭格が、ドルトムントのジェイドン・サンチョだ。マンチェスター・シティのアカデミーで2年を過ごすと、2017年に17歳にしてドルトムントへの移籍を決断。当時はペップ・グアルディオラがやって来た翌年だっただけに、その世界的名将の下でプレーする可能性もあったが、本人はドイツ行きの決断に「選択は正しかった」と断言している。

 その言葉の正しさを証明するように、移籍初年度でブンデスリーガにてプロデビューを果たすと、翌2018-19シーズンには12得点14アシストと一気に頭角を現した。左右どちらもこなすウィンガーで、左から切れ込んでのシュート、一瞬の加速で相手を置き去りにしてのクロスと、しっかりと数字を残している。

 サンチョの獲得には、リバプールチェルシーといったプレミア勢、さらにレアル・マドリーにバルセロナと、毎年の移籍市場をにぎわすスペインの名門が興味を示していると報じられてきた。だが、中でも熱心なのはマンチェスター・ユナイテッドであるようだ。

 その才能については、マンチェスター・ユナイテッドのOBであり、バイエルン・ミュンヘンの一員としてプレーし、ブンデスリーガのレベルも知るオーウェン・ハーグリーブスが「サッカーが組織的になっているにもかかわらず、創造的なプレーができる」と、若き日のネイマールと比較しながら絶賛している。

 英メディアは、ドルトムントが1億ポンド(約130億円)を要求するなどと、日々報道を過熱させている。それでもマン・U行きの噂には、「内定」「確定」との見方がほとんどだ。

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