レアル・マドリードはコロナ禍による経済的損失を補うため、来シーズンの選手給与の30%削減を検討している。今シーズンの給与10%カットをすでに実施しているが、今後のクラブ財政の悪化は必至で、さらなる人件費の圧縮で減収・減益に対応しようというわけだ。
状況の深刻さがうかがえるのは、給与カットの対象がトップチームだけではなく、「カスティージャ」と呼ばれるBチームの選手にも及んでいることだ。クラブ幹部も含め、レアルは総額で1億ユーロ(約116億円)の削減を見込んでいる。年間売上高が7億5700万ユーロ(約878億1200万円)でバルセロナに次ぐ世界第2位の金満クラブにも、コロナ不況が重くのしかかる。
ちなみに、レアルからマジョルカにレンタル中の日本代表MF久保建英の年俸は推定200万ユーロ(約2億3200万円)で、来シーズン復帰して30%の給与カットを受けた場合、60万ユーロ(約6960万円)の減額となる計算だ。
3月12日から中断中のラ・リーガは6月12日の再開を目指しているが、試合は無観客での開催となる。そのため、物販などを含めたマッチデー収入の大幅な落ち込みは避けがたい。スペイン『AS』紙によれば、今シーズンのレアルのチケット売上見込みは、親善試合などを含め2億7000万ユーロ(約313億2000万円)で、これは総売上高の3分の1を占める。その大幅減収はクラブ財政を直撃する大きな損失だ。
さらに、スポンサー収入の減収も余儀なくされるかもしれない。2大スポンサーの『エミレーツ航空』と『アディダス』もコロナ不況の波をかぶり、アディダスはドイツ政府に30億ユーロ(約3480億円)の特別融資を求めるなど経営が悪化している。シーズン中断や今後の無観客試合による露出機会の減少を考慮しても、スポンサー料の見直しは当然、話し合われることになるだろう。