■飛行機に乗り損ねた痛恨のミス

 ただ、1回だけひどい目にあいました。大会2日目にスペイン対ポルトガルという好カードがあったので観戦する予定だったんですが、不覚にも、会場のソチ行きの飛行機に乗り遅れてしまったのです。

 空港専用列車の「アエロエキスプレス」ではなく、メトロとバスを乗り継いで行こう思ったのが失敗の原因でした。というのは、最初に日本からモスクワに到着した時に、このルートでスムースにアパートまで行けたからです。空港のタクシー乗り場が大混乱していたんで、周囲を見回したら「マルシェルートカ」と呼ばれる乗り合いタクシーがいたので、これに乗って、メトロ、バスと乗り継いでアパートまでたどり着いたんです。だから、空港までは「その逆ルートを行けばいい」と思ったんですが、マルシェルートカは市内から空港に行く時にはターミナル直行ではなく、空港の敷地の周りを反時計回りにグルッと1周するルートだったんです。

ソチ行きの(行けなかった便の)搭乗券
ソチ行きの(行けなかった便の)搭乗券

 ターミナルに着いた時には出発時刻まで30分を切っていました。チェックインカウンターでは「もう締め切った」と言われましたが、「それでもどうしても発券しろ」と言って無理やり搭乗券を発行させ、荷物検査場も強引に突破。ようやく搭乗口にたどり着きました。間に合った! 飛行機はそこにまだいる!

 ところが、係員に冷たくこう告げられました。

「残念だったな。2分前にゲートが閉まったところだ」

 いったん閉じられたゲートを開けさせることは、ナッツ姫かなんかじゃないとできないこと……。

諦めた僕は、スパルタク・スタジアムのメディア・センターでスペイン対ポルトガル戦を観戦することになりました。「どうかつまらない試合になってくれ」という願いとは裏腹に、3対3という大熱戦になったのはご承知の通りです。

 もっとも、これとは反対に「絶対に乗れないはずの飛行機にまんまと乗れた」という経験もあるんですけどね。それは、次回にお話しします。

  1. 1
  2. 2