新型コロナウイルスの感染拡大でヨーロッパのサッカーカレンダーがストップして2か月が経とうとしている。各国政府によるロックダウンや行動制限措置が段階的に緩和されはじめ、各国リーグも再開への動きを加速させようとしているが、それには切実な事情がある。
シーズンがこのまま打ち切りとなれば、どのリーグも大きな経済的損失を被ることになるのだ。
例えば、9節を残すプレミアリーグが中止となった場合、リーグ全体で10億8290万ポンド(約1451億860万円)という大幅な減収が見込まれると、英国のメディアは伝える。テレビ放映権収入、チケットと飲食物などの売上のマッチデー収入、グッズの売上などを含めたコマーシャル収入の落ち込みが合わせてこの金額となり、単純計算で1クラブ当たり5415万ポンド(約72億5500万円)のマイナスだ。
クラブ別では、もっとも大きな減収が予想されるのがマンチェスター・シティで、1億1640万ポンド(約155億9760万円)に上る。
同じく残り9節のブンデスリーガは、『フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング』紙によれば、リーグ全体の損失額は7億7000万ユーロ(約885億5000万円)になるという。1クラブ平均4278万ユーロ(約49億1970万円)のマイナスで、このままシーズンが打ち切られると、ブンデスリーガの1部と2部の全36クラブのうち13クラブが経営破綻に追い込まれることになるとの報道がある。
ラ・リーガは、11節を残して取り止めとなった場合の損失額を6億7900万ユーロ(約780億850万円)と試算。1クラブ当たりの平均マイナス額は3395万ユーロ(約39億425万円)だ。
リーグ機構のハビエル・テバス会長は、チャンピオンズリーグとヨーロッパリーグもこのまま中止となれば、損失額は10億ユーロ(1150億円)に達すると懸念を示し、リーグ・アンの打ち切りが決まったフランスに対して「十分な感染予防の措置を取り、無観客で開催するサッカーの試合が、工場の組み立てラインでの作業や漁船での漁よりも危険だというのか」と批判的な発言をしている。