●前編の概要
放映権にも、フランチャイズの概念を導入し、ヨーロッパに流れ込んでいるサッカーの放映権料を原則として自国に流す。CLやプレミアリーグを日本で放送するなら、放映権料はJリーグに支払われ、プレミアは、イングランドでJリーグを放映する際の放映権料を取る。これで「欧州一極集中」が壊れ、世界中のプロサッカーが健全に運営できる道が開ける。
日本サッカーの歩むべき道
もちろん、「暴論」であることは承知だ。だが、「放映権を含め、その国でプロサッカーに費やされるお金は、その国のプロサッカーの利益となる」という大原則を打ち立てることが、何より大きなポイントだ。たとえば日本でプレミアリーグを放映するなら、Jリーグがその契約の代理人となり、放映権料の何割かを受け取るという形でもいい。それでも、これまでの「一極集中」は大きく改善されるだろう。
この「提案」に反対するのは当然、欧州である。UEFAも主要クラブも反対するのは必至だ。いや、反対どころか、鼻で笑って相手にもしないだろう。
実現するには、FIFAの決断が必要だ。世界のサッカーを健全に成長させることはFIFAの重要な仕事だからだ。FIFAを動かすには、AFCを動かす必要がある。そしてAFCを動かせるとしたら、Jリーグしかない。Jリーグはアジアで最も堅固に運営され、競争が厳しく、そしてレベルの高いリーグであるからだ。それは、AFCチャンピオンズリーグでのJリーグ勢の活躍を見れば明らかだ。
私は、Jリーグが率先して「放映権フランチャイズ」を実践すべきだと考えている。Jリーグを他国で放映する場合、その放映権料はその国のプロリーグに入れるという形である。
実は2014年、Jリーグに村井満チェアマンが就任した際、私は個人的にこの試論を説明したことがある。当時、Jリーグは深刻な経営難に悩み、東南アジアを中心に展開しようとした放映権販売もまだ実績が出ていなかった。それでもJリーグ以外にはアジアの他国で興味をもたれそうなリーグはなかったから、Jリーグが率先してAFCにこの「放映権フランチャイズ」の考え方を提案すれば、意外に多くの国からの賛同を得るのではないかと、希望をもっていた。