幸か不幸か6月の日本代表の試合は中止となり、また、7月開催予定だった東京オリンピックも1年の延期が決まった。つまり、リーグ戦の日程を消化するための時間が合計して5週間ほど与えられたのだ。たとえ、Jリーグの再開が5月末くらいになったとしても日程の消化は十分にできるだろう。
地域によって感染状況が異なるのであれば、まず安全な地域での試合開催を優先したり、密閉空間ができやすい構造のスタジアムでの試合を避けるなど、様々な選択が浮上してくる。
その点では、3月17日の理事会で「昇格あり・降格なし」という大会方式の変更を決めておいたのも迅速かつ正しい決定だった。それによって公平性にそれほどこだわらずに日程を決めることができるからだ。あるいは、もしさらに試合の開催ができない状況が続いたとすれば、例えばホーム&アウェーの原則を破って1回戦総当たりにすることだって可能だろう。
かつて、Jリーグは2シーズン制で優勝を決めていた。当時の順位決定方式は3位以下はホーム&アウェーの2回戦総当たりの通算勝点によって決められたものの、最も重要な年間優勝チームを決めるための「チャンピオンシップ」進出チームは、1回戦総当たり方式の各ステージでの順位によって決められていた。そのことを考えれば、2020年シーズンの順位が1回戦総当たりのリーグ戦によって決まったとしても、歴史的な継続性は何とか保てるのではないか。
あるいは、2020年の優勝は参考記録に留め、単に2021年のAFCチャンピオンズリーグ出場チームを決めるための大会と考えることだってできる。
新型コロナウイルスの感染拡大は、これからどのようになって推移していくのか……。それは誰にも分らないことが、ただ、Jリーグとしてはそのような時々刻々の変化に応じて、科学的、合理的な観点から最も適切な選択をしていってほしいものである。