ポテンシャルは高いだけに…
いざシーズンが始まると、ルヴァンカップでは、まだ完成度の低い鹿島アントラーズに危険なシーンもつくられつつも、FKからのゴールで1-0ながらも勝利した。リーグ開幕戦のベガルタ仙台戦では、ボール保持率が6割を超え、シュート20本を放ったが、1-1で引き分けた。前線からの守備や攻撃時のコンビネーションなど、良いプレーを見せる時間帯もあるものの、まだ「今季の名古屋」が見えてきたとは言い難い。
目玉となるようなものはなかったものの、補強は堅実に行なった印象だ。昨季の主力の退団は、和泉竜司(→鹿島アントラーズ)くらいのもの。逆に新加入選手は、阿部浩之(←川崎フロンターレ)や稲垣祥(←サンフレッチェ広島)といった計算のできる選手を迎えた。実際のところ、2人はリーグ開幕戦でもフル出場し、阿部は同点ゴールも決めている。
期限付き移籍に出していた選手も戻ってきた。マテウスは横浜F・マリノスでJ1優勝に貢献。東京五輪での活躍も期待される相馬勇紀は、負傷にも泣かされたものの鹿島アントラーズで多くを学んで帰ってきた。この2人は、今季の名古屋の4-2-3-1のフォーメーションで、サイドからのアタックで存在感を示しそうだ。見方を変えると、どうして昨季はこの2人を他クラブに貸し出したのか、という話になるのだが…。
負傷しているジョーも、そう遠くないうちに戦線へと復帰してくるだろう。そうなれば、ここまで1トップに入った前田直輝の起用法を変え、選択肢を広げることができる。やはりこのチームの陣容は、J1残留争いをするようなものではない。
収容人数の多い豊田スタジアムでの試合が多かったこともあるが、昨年のホーム1試合平均の観客数は過去最高の2万7612人を記録した。世界的大企業がバックにつく中部地域の大都市で戦うチームには、やはり大きな可能性があるのだ。
それだけに、今季もまた周囲が納得するような結果が出なければ、問題は根深いと言わざるを得ない。