平日開催がクラブ経営に打撃

 昨季J1で、リーグ戦1試合の平均入場者数は2万751人だった。試合は土曜をメインとして行われていた。一昨年からは、金曜日に少数の試合を開催して注目度を高めようという「フライデーナイトJリーグ」という企画も始まっていたが、昨年は、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)に出場する浦和レッズ、川崎フロンターレ、鹿島アントラーズといった人気クラブの試合も金曜日に開催され、フライデーナイトは1試合平均1万9688人を集めた。上々の動員数だと言える。

 だが、フライデーナイト以外に目を向けると、様子が変わってくる。やはりACL絡みでの日程変更だったのだが、金曜以外の平日開催の4試合のうち、人気クラブである浦和のホームでの2試合は平均2万9541人。だが、それぞれサンフレッチェ広島がホームに川崎Fと浦和を迎えた2試合では、平均8837人と1万人を切っている(ちなみに、昨年のフライデーナイトで1試合1万人に届かなかったのは、広島のホームでの2試合だけである)。

 J2に至っては、さらに厳しい数字が残っている。昨季の1試合平均入場者数は7176人だったのだが、ウィークデイ(祝日を除く)に開催された25試合では5394人と25%も集客力が下落しているのだ。

 リーグにより開示されている2018年度の各クラブの経営状況を見てみると、営業収益のうち入場料収入が占める割合は、J1で約16.9%、J2で約12.8%となっている。J3ではそこまで高くないが、そもそも営業収入がJ2平均と比べて1ケタ違う。その状況でチケット代が目減りするとなれば、打撃は上位カテゴリーのクラブ以上に大きい。

 政府はここ1、2週間が今後のウィルスの拡大・終息を大きく左右する期間と説明しており、Jリーグが決めた自粛期間は、それに余裕を持たせて1週間をプラスしたものだ。決断までの動きも国内で見れば迅速だったかもしれないが、他国に目を向ければ遠く欧州のイタリアは、日本より感染者発覚が遅かったにもかかわらず、Jリーグよりも早く国内リーグ・セリエAの延期を決めている。

 日本のコロナウィルスの脅威への認識が遅く、甘かったのだとすれば、日本全体の“自粛”期間はさらに長引くかもしれない。その際のJリーグクラブへのダメージは、ウィルス問題のそのものの収束と同じくらいに、先行きを見通すのが難しい。

 まさに今こそ、頭をフル回転させるべき“瀬戸際”にあるのかもしれない。

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