■ アーセナルが抱えたハンディ。専用バスすら停められない「小さな漁港の罠」

 アーセナルに勝てるはずなどない。0-4か0-5だろう―。町の人々は誰もがそう思っていた。それでも、前シーズンのプレミアリーグ王者とのカラバオカップ準決勝進出を懸けての対戦は、フリートウッド・タウンFCにとって「史上最大の試合」である。定員5327人のスタジアムは、5002人のファンでぎっしりと埋まった。

 アーセナルには難しい問題があった。プレミアリーグ、カラバオカップに加えUEFAチャンピオンズリーグを並行して戦うアーセナル(FAカップは2027年1月に初戦)、10月10日からこのカラバオカップ4回戦まで18日間で6試合目であり、この1週間のうちにも、水曜日にドイツでバイエルン・ミュンヘンと2-2で引き分け、ホームに戻って土曜日にエバートンを2-0で下してプレミアリーグで首位マンチェスター・シティと勝点で並んでいた。そしてこの火曜日にこの「小さな漁港」にやってきていた。バイエルン戦の前のノッティンガム・フォレスト戦(10月18日、1-0の勝利)を加えると、中2日間で4試合目。「過密日程」は強豪クラブの宿命である。

 しかも、通常なら試合前日には移動するのだが、この試合に関しては「当日移動」、「試合後ロンドンに戻る」という強行日程となった。この試合の前夜、10月26日にロンドンで「バロンドール」の表彰式が行われ、アーセナルの主要選手がその表彰式に招待されていたからだ。

 このためアーセナルはチャーター機を使い、フリートウッドに隣接する小さなブラックプール空港に昼前に降り立った。しかしそこにはもうひとつの問題があった。通常なら、選手、スタッフ、そして役員を運ぶ3台の専用大型バスと用具を運ぶ6台のドイツ製バンを使うのだが、「ハイバリー」にはそれらの車両を収容するスペースがなかったのである。仕方なく、選手とスタッフ、役員を運ぶために現地のバス会社を雇うしかなかった。

(3)へ続く
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