1500億円vs15億円!王者アーセナルを撃破した4部クラブ「タラ軍団」の奇跡(2)プレミア王者が抱えたハンディ「偽ハイバリー」の罠、両チームの不思議な因縁【大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第198回】の画像
名将アーセン・ベンゲルが率いている間に、アーセナルはエミレーツ・スタジアムへと本拠地を移転。だが今回、思わぬ形で「ハイバリー」での試合が実現した。写真/原悦生

 サッカーというスポーツは、無数のディテール(詳細)と予測不能なドラマであふれている。サッカージャーナリスト・大住良之が重箱の隅をつつくような視点で語る「超マニアックコラム」。イングランド4部のフリートウッド・タウンがいかにしてプレミア王者アーセナルを倒したのか。両者の間に横たわる「不思議な因縁」と、王者を苦しめた“田舎町ならではの罠”をひも解く。【第2回/全4回】

■ まるで兄弟!? スタジアム名もユニフォームもアーセナルと同じ「不思議な因縁」

 だがこの対戦は、単なる「プレミアリーグ×4部リーグ」の構造ではなかった。何か不思議な因縁を感じさせる対戦だったのである。まず、試合会場となるフリートウッド・タウンのホームスタジアム(自治体所有)が「ハイバリー・スタジアム」であることが挙げられる。多くのファンが知っているように、アーセナルが20世紀の間使用していたロンドンのスタジアムの通称とまったく同じ名なのだ。

 さらに、フリートウッド・タウンのユニフォームが、赤に白い袖のついたものだった。アーセナルとまったく同じなのである。このため、「ビジター」のアーセナルは紺色のユニフォームを着用し、「ハイバリー」という名のスタジアムで、まるで自分のチームを相手に戦う形となったのである。

 だがフリートウッドが歴史的にアーセナルの「ファームチーム」であったわけではない。フリートウッド・タウンFCは1908年にその礎が築かれ、何度もの再編を経て1997年に現在の組織がスタートした。「ハイバリー・スタジアム」は1939年に建設され、こちらも何回も改装されて2011年に現在の形となった。そのスタジアム名は、スタジアムの西側、メインスタンドの背後を通る「ハイバリー・アベニュー」から取られたもので、「ハイバリー」とは、古い英語で「高所の砦」を意味する一般名詞なのである。

 では「赤に白袖」のユニフォームの由来は? それについてはよくわからないらしい。ただ言い伝えには、フリートウッド・タウンFCが最初に着用したユニフォームが、アーセナルFCから贈られたものだったというものもあるという。

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