■再び世界の頂点へ
ACミランは1986年に会長になったシルビオ・ベルルスコーニの下、セリエAで8回、UEFAチャンピオンズリーグ(欧州チャンピオンズカップを含む)で5回の優勝を遂げ、トヨタカップ2回、FIFAクラブワールドカップ1回と、「世界チャンピオン」の座にも就いた。インテルナツィオナーレ・ミラノも、2006年から2010年までセリエAを5連覇という偉業を成し遂げ、2010年にはUEFAチャンピオンズリーグとFIFAクラブワールドカップも制覇している。
2022年、両クラブは新スタジアムの建設を決定、その準備として、ミラノ市の所有だった「ジュゼッペ・メアッツァ・スタジアム」を2025年に共同で買い取った。
1990年当時は世界で最も美しく、最も華やかなスタジアムだった「ジュゼッペ・メアッツァ」は、その大改修から35年を経て、さまざまな欠陥が目につくスタジアムになっていた。なかでもファンの悩みは、トイレの不足だった。ハーフタイムには長蛇の列ができ、後半のキックオフに間に合わないことも珍しくなかったのだ。
1926年に完成したスタジアムを、改修に改修を重ね、古い部分を残したまま2層式に、そして3層式にと高さを増し、さまざまな工夫でファンのあこがれとなり続けた名スタジアム。しかしACミランとインテルナツィオナーレ・ミラノの両クラブは、両クラブだけでなくセリエAを、そしてイタリアのサッカーを1990年代のように世界から注目を集めるものとするため、大きな決断をしたのである。
あと5年で役割を終え、その後は複合的な商業施設などに生まれ変わる「ジュゼッペ・メアッツァ・スタジアム」。しかしあの特徴的なスロープ通路などの一部でも、「文化遺産」として残そうという検討が始められている。
「100歳スタジアム」の物語も、ミラノっ子たちの間で、そしてイタリアのサッカーファンの間で、親から子へ、子から孫へと伝えられていくだろう。















