■特色をさらに強化

 結果として、ミラノは「開幕戦」の会場を目指すことになる。しかしハードルは高かった。ワールドカップの主催者である国際サッカー連盟(FIFA)が示した「開幕戦開催の条件」が、非常に厳しいものだったからだ。

 ・収容数8万人以上。
 ・全席番号付きの個席(立ち見席は認めない)。
 ・観客席の3分の2以上が屋根で覆われていなければならない。

 当時の「ジュゼッペ・メアッツァ・スタジアム」は、両ゴール裏を含め、多くの立ち見席があった。現状のスタンドのままで全個席にすると、収容は6万7000人となってしまう。どうしても「3階席」が必要になる。そして屋根も。しかし「ジュゼッペ・メアッツァ・スタジアム」には、敷地の制約があった。

 改修計画を任された「ラガッツィ&ホファー」社は、このスタジアムの「個性」を残しつつ、斬新なアイディアを考え出した。土地のまったくない東側スタンドを除く西・南・北の3方のスタンドの外側に計11基の円筒形のタワーを建て、3階席をそれで支える。そして4つのコーナーのタワーはさらに高いものとして、4方のスタンドを覆う巨大な屋根を支える―。

 4つのコーナー以外のタワーは、西側スタンドの外に3基、南と北のスタンドの外に2基ずつ。この全11基のタワーは、スタンドや屋根を支えるとともに、新しい「通路」にもなった。基部からスロープを周回するうちに自分の座るエリアに到達するというもので、「1956年改修」時の「周回スロープ」を上回る300メートルの長さがあったが、完成とともにスタジアムの新名物となった。シンボルである古いスロープも、しっかり目につくように残され、「二重らせん」のような複雑で美しく、個性的なものとなったのである。

PHOTO GALLERY ■【画像】サンシーロの特殊な外観
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