旅の足にはいろいろな種類がある。飛行機や鉄道でのスマートな移動もいいが、蹴球放浪家・後藤健生の真骨頂といえば、地に足の着いた泥臭い「バス旅」だ。広大なアメリカ大陸で開催されたワールドカップも、放浪家とバスが組めば攻略は容易い。前編では、世界中を大騒ぎさせた“トランプ大統領の判定介入事件”の現場目撃談から、少年時代から憧れ続けた伝説の長距離バスへの乗車顛末まで、波乱万丈の道中をお届けする。
■世界を騒がせた「トランプ介入事件」現場の真実
前回は、サンノゼで「あわや野宿」というピンチに追い込まれた後、なんと1泊4万円以上のマリオットに泊まってしまうという大波乱の一日のお話でした。ちなみに、そのときサンタクララのリーバイス・スタジアムで見たアメリカ対ボスニア・ヘルツェゴビナ戦でアメリカのFWフォラリン・バログンが相手と交錯した瞬間に足を踏んでしまって一発レッドで退場となった場面がありました。
まったく悪気はないプレーで、レフェリーもその場では笛を吹きませんでしたが、VARが介入。スロー映像で見ると間違いなく足を踏んでおり、退場は仕方のない判定でしたが、僕は「おやおや、気の毒な退場だったな」と思いました。
つまり、特に注目すべきようなプレーではなかったのですが、この後、ドナルド・トランプ大統領がお友達のジャンニ・インファンティーノFIFA会長に電話して「あれはファウルじゃねぇぜ」と伝えると、FIFAはバログンの処分を1年間猶予することを決定。世界中が大騒ぎになってしまいました。
バログンはラウンド16のベルギー戦に出場したのですが、ほとんど彼らしいプレーができないままアメリカ代表は1対4で大敗を喫してしまいました。
ボスニア・ヘルツェゴビナはアメリカのマウリシオ・ポチェッティーノ監督の可変システムに対応できなかったのですが、強豪ベルギーはアメリカのシステムに惑わされずに戦っていました。
まあ、とにかく、トランプの介入による最大の被害者は、こんなことで超有名人になってしまったバログン本人だったように思います。


















