現地時間7月7日に行われた北中米ワールドカップ(W杯)のラウンド16で、アルゼンチン代表がエジプト代表に3-2で劇的な逆転勝利を収めた。死闘の末に見せた「神」リオネル・メッシの涙が、世界中のサッカーファンの感動を呼んでいる。
イタリア(1934、38年)、ブラジル(1958、62年)に続く史上3か国目の「W杯連覇」を目指す前回王者アルゼンチン。グループステージを3連勝で突破し、ラウンド32ではカーボベルデとの死闘を3-2で制してこの舞台へ勝ち上がってきた。
立ちはだかるのは、「王」モハメド・サラーを擁する難敵エジプトだ。試合は前半15分に先制を許す苦しい展開で幕を開ける。直後の同19分、メッシが自らPKを蹴るも相手GKモスタファ・ショウビルのビッグセーブに阻まれ、その後放ったフリーキックもポストを直撃。王者は0-1のまま前半を折り返した。
後半に入り、前線の人数を増やして猛攻を仕掛けるアルゼンチンだったが、逆にエジプトの鋭いカウンターを浴びてしまう。後半13分の失点こそVARのオン・フィールド・レビューによるファウル判定で取り消されたものの、同22分にはサラーのドリブル突破から再びカウンターを許し、最後はモスターファ・ジーコに痛恨の追加点を奪われて0-2。誰もが王者の敗退を覚悟した瞬間だった。
だが、ここからが「神」たる所以だった。選手交代に伴い、ポジションを中央から右寄り後方へと移したメッシがピッチで躍動し始める。
後半34分、右サイドからメッシが放った高精度のクロスをクリスティアン・ロメロが頭で叩き込み1点差に詰め寄ると、直後の同38分には、ゴール前の混戦からメッシ自身が美しい左足のハーフボレーをねじ込み、瞬く間に同点に追いついてみせたのだ。
メッシのW杯9試合連続となるゴールで完全に息を吹き返した王者は、後半アディショナルタイム2分、鮮やかなカウンターからラウタロ・マルティネスのクロスをエンソ・フェルナンデスが頭で合わせ、ついに逆転。0-2の絶望的状況からわずか13分間で3点を奪い取るという、信じがたい大逆転劇でベスト8への切符をもぎ取った。
壮絶な死闘を告げる終了のホイッスルが鳴り響いた瞬間、「神」メッシはピッチに崩れ落ち、両手で顔を覆いながら力強くガッツポーズを握った。その目には、熱い涙が光っていた。
一方で、王者をあと一歩まで追い詰めながら散ったエジプトの「王」サラーもまた、涙を流していた。主審の判定を巡りエジプト陣営が猛抗議する騒然とした空気の中、サラーはただ一人、健闘を称えて降り注ぐ大観衆の拍手に対し、自らも手を叩いて敬意を示しながら静かにピッチを後にした。






























