サッカー日本代表の2026年ワールドカップでの戦いは、ラウンド32での敗退という形で幕を閉じた。しかし、結果だけを見て落胆するのは早計だ。彼らが見せた戦いぶりは、これまでの歴史を根本から覆す、まさに「世界基準」への到達を証明するものだった。今大会から何を学び、そしてなぜ「W杯優勝」が夢物語ではなくなったのか。サッカージャーナリスト・後藤健生が、森保ジャパンの劇的な進化を徹底検証する!
■過去4度のGL突破に隠された「幸運」と「限界」
日本代表の戦いはラウンド32で幕を閉じた。「ノックアウトステージ1回戦での敗退」という意味では前回並み。いや、これまでのワールドカップ挑戦の歴史で、実に5回目の経験となった。まさに、日本の男子サッカー界にとっての大きな「壁」である。
日本代表は過去4度グループステージを突破してノックアウトステージに挑戦してきたが、そのすべてで初戦で跳ね返されてきた。
しかし、2026年大会での戦いはこれまでとはまったく様相の違う戦いだった。
これまでの日本のグループステージ突破の歴史を振り返ってみよう。
最初は2002年の日韓共同開催の大会だった。フィリップ・トルシエ監督の日本代表は2勝1分で首位通過したものの、ラウンド16でトルコに0-1で敗れ去った。
このときのグループステージ突破はホームアドバンテージに負うところが大きい。ヨーロッパのチーム(ベルギーとロシア)にとって、日本の蒸し暑さが大きなハンディキャップとなっていたことは間違いない。
ちなみに、「番狂わせが起こりにくい」と言われるラグビーでも2019年の日本大会では、日本が蒸し暑さを味方に付けてプール(サッカーで言う「グループ」と同じ)首位で準々決勝進出を決めている。
続いて、日本代表がグループステージを突破したのが2010年の南アフリカ大会。
大会前の親善試合で不振を極めた日本代表の岡田武史監督は、大会直前にチームコンセプトやメンバー構成を大幅に変更。守備を固めてロングボールを使った戦い方に切り替えて勝負に徹することでグループステージを突破したが、ラウンド16ではパラグアイとのPK戦に敗れ去った。
2018年のロシア大会でも日本は見事ラウンド16に進出してベルギー相手に大善戦したが、グループステージ突破はかなり幸運に恵まれたものだった。
初戦のコロンビア戦は開始直後に相手のハンドによってPKを獲得して先制。しかも、相手DFが退場となったため、ほぼ90分間数的優位に立って戦うことができて勝点3を獲得。
2戦目でセネガルと引き分けてグループステージ突破に王手をかけたものの、最終戦ではポーランドに先制され、最後はそのまま0-1で試合を終わらせることを選択。ブーイングに包まれながら戦って、フェアプレーポイントの差で勝ち抜けを決めたのだ。
そして、記憶に新しい2022年のカタール大会ではドイツ、スペインに勝利という画期的な成績を残したが、内容的にはドイツにも、スペインにも完全にコントロールされてしまっていた。勝利は相手の得点力不足に助けられたものであり、後半、攻勢に出て逆転勝ちを収めた。
当時は、ドイツやスペインは日本のことを格下と見ており、日本の「死んだふり作戦」が功を奏した形だった。
つまり、これまでのグループステージ突破にはすべて、なんらかの形で幸運が関わっていたのである。日本代表は「グループステージ突破」を目指して3試合を全力で戦い抜き、幸運に恵まれてラウンド16進出を決めた。


























