■試合には「小中高生」が大量動員

 だが、当時の小学生はそんなことなどまったく知りませんでした。そもそも、サッカーという競技自体、ほとんど馴染みがないものでした。

 当時の日本ではサッカーはマイナー競技。入場券が売れなかったので、サッカーの試合には都内の小中学生や高校生が大量に動員されてスタンドを埋めていたのです。

 当然、団体で詰めかけた小学生がじっくり試合を見ているわけもありません。スタンドはざわざわと騒がしいままでした。選手たちには迷惑なことだったでしょう。

 しかし、そこで見たサッカーが面白かったのでしょう。オリンピック見学の後、男の子たちは皆サッカーが大好きになって、校庭や廊下でボールやタワシを蹴ってサッカーの真似事をしていました(当時はサッカーは女子がするものではなかった)。

 翌年、同じく新宿区内の公立中学校に入学した僕は、さっそくサッカー部に入部しました。学校のすぐ近くの区営のグラウンドが練習場でした(今でもJR山手線の車窓から見ることができます)。

 しかし、当時の公立中学校のサッカー部にはコーチなどいませんでした。

 顧問の英語の先生は多少プレー経験があったようですが、あまり顔も出さず、先輩たちが入部してきた1年生にボールの蹴り方を教えていました。なにしろ、小学生の頃にサッカー経験がある子など1人もいなかったのですから……。

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