三笘・旗手・上田が活躍した「全盛期」との違い、天皇杯予選「14年ぶり決勝」が示す地盤沈下【日本代表を支える「大学サッカー」の大問題】(2)の画像
かつて三笘薫ら大学勢が天皇杯で“ジャイアントキリング”を演じたが、今はJFLなどのほうが力は上。大学サッカーを今後、いかに向上させていくべきなのか。撮影/渡辺航滋(Sony αⅡ使用)

 日本のサッカー界を支える重要な存在である「大学サッカー」だが、近年はジレンマを抱えている。三笘薫、上田綺世、旗手玲央らが活躍した全盛期にはプロ相手に旋風を巻き起こしたが、今年の天皇杯東京都予選では大学勢が敗退。Jリーグのファーム化によって地盤沈下する大学サッカーの現在地と、その問題の核心をサッカージャーナリスト・後藤健生が炙り出す!

■三笘や上田がいた「全盛期」からのレベル低下

 大学リーグが活況を呈したのは、最近では三笘薫(筑波大)や旗手玲央(順天堂大)、上田綺世(法政大)が関東大学1部で活躍していた2010年代末頃だろう。

 三笘は、現在イングランドのプレミアリーグで見せているのと同じような柔軟なドリブル突破を見せていたし、上田はあの驚異的なジャンプ力を生かして点を取っていたし、旗手は重戦車型のドリブルで縦横無尽の活躍を見せていた(当時は、まさか、それがヨーロッパのトップリーグでも同じように通用するとは思っていなかったが)。

 彼らが在籍し、そして、いずれも4年間大学リーグでプレーした当時の大学リーグはレベルが高く、J3リーグや日本フットボールリーグ(JFL)と同格だった。天皇杯全日本選手権でも、毎年のように大学チームが旋風を巻き起こしていたものだ。

 その後、2020年代の初めにJリーグのレベルが上がり、それがJ3リーグやJFLにも波及して、J3リーグは日本の3部リーグとしての地位を確立。それに伴って、JFLのレベルも上がった。

 一方、大学では優秀な選手が4年間プレーせずにプロ入りするケースが増えたこともあって、今ではJ3リーグには太刀打ちできなくなっている。

 今年の東京都選手権(天皇杯予選)決勝戦(5月9日)は、ともにJFLで苦戦を強いられているクリアソン新宿と横河武蔵野FCの顔合わせとなり、新宿が勝利したが、日本大学と国士舘大学は準決勝で敗退した。この大会の決勝が社会人同士の争いになったのは、実に14年ぶりのことだった。

 これも、大学に対してJFL勢が優勢に立ったことの表われなのかもしれない。

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