大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第189回「アメリカ・サッカー小史(下)」(1)「サッカー不毛の地」を変えた1966年W杯・伝説の決勝戦の画像
今ではサッカーが浸透したアメリカだが、かつては不毛の地と呼ばれていた。写真:雑誌協会代表撮影/中地拓也

 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム」。今回は、気になるワールドカップ開催国のサッカーについての続編。

■実質的に「アメリカ大会」

 6月11日開幕のワールドカップまで1か月となった。この大会はアメリカとともにカナダ、メキシコの計3か国がホストを務めるが、実質的に「アメリカ大会」と言ってよい。開幕戦こそメキシコシティで開催されるが、全104試合の4分の3、78試合がアメリカで開催され、カナダとメキシコはそれぞれ13試合を開催するだけだからだ。もちろん決勝戦はアメリカで、「ニューヨーク/ニュージャージー」が会場となる。

「大会の華」とも呼ぶべき準々決勝以降の試合会場はすべてアメリカ国内。カナダではバンクーバーが「ラウンド16」、トロントでは「ラウンド32」の試合が最後となる。そしてメキシコでは、メキシコシティが「ラウンド16」、モンテレイが「ラウンド32」の試合が最終戦となり、グアダラハラはグループリーグD組の「ウルグアイ×スペイン(6月26日)」ですべての試合が終わる。「アメリカ大会に等しい」という理由がわかるだろう。

 さて、そのアメリカのサッカー。現在ではFIFAランキング16位。今大会がワールドカップ出場12回目となる。過去最高成績が1930年第1回大会の「3位」であることを別にしても、今世紀に入ってからの過去6大会の成績を見れば、北中米カリブ海地区予選敗退が1回(2018年大会)あるものの、他の5大会のうち4大会でグループステージ突破を果たし、2002年大会では、準々決勝進出を果たしている。

 しかし1950年のワールドカップで優勝候補のイングランドを破るというセンセーショナルな実績を持ちながら、その後、現在のような「世界上位国」になるまでのアメリカ・サッカーには大きな紆余曲折があった。

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