サッカーに新たなルールが追加される。選手交代の時間を短縮させるというものだ。6月開幕の2026年北中米ワールドカップにも影響を及ぼすであろう新ルールについて、サッカージャーナリスト大住良之が考察する。
■時間の浪費を許さない
ずいぶん前の話だが、私が監督をしている女子チームで印象的なことがあった。
ある試合の終盤、私は選手交代をした。相手はリーグの優勝候補のひとつで、それ以前は勝ったことがない強豪だったが、その日、私たちは終盤まで1-0でリードしていた。相手が同点にしようと圧力を高めるなか、私の狙いは、もちろん、守備を強化して逃げ切ることだった。
退出させたのは、中盤の中心選手だった。交代選手がハーフラインのところに立ち、私は大声で退出する選手の名を呼ぶ。するとその選手は、プレー中と変わらない猛烈な勢いで交代選手のところまでダッシュし、両手で交代する選手にタッチして退出したのである。
「かっこいい!」
ベンチで控えていた若い選手からそんな声が上がった。
勝っているときには時間をかけて交代する―。Jリーグの影響で、私たちのチームの選手たちの間でも、それは常識とされていた。そんななか、ダッシュで戻ってきて交代する姿に、サッカー選手としての潔さと凜々しさがあふれていた。私も感嘆した。
今年のルール改正で、最も気になるのは、「第3条(競技者)」に次のような条項が追加されたことだ。
「交代する選手は10秒以内に競技のフィールドを出なければならない。制限時間を超過した場合には、交代選手は1分間経過後の最初の中断まで入場することができない」
2026/27年度のルール改正については、英語版は国際サッカー評議会(IFAB)のサイトに出ているが、正式な日本語訳はまだ発表されていない。当然のことだが、この稿の日本語訳は私の「私案」であることをお断りしておく。「私案」であると同時に、部分的には「要約」になっていることをお断りしておく。
改正されたルールの施行日は7月1日だが、例年どおり、6月に開幕するワールドカップは新ルールで行われる。大いに気になるのだ。それにしても、10秒(!)である。














