大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第188回「アメリカ・サッカー小史(上)」(1) ランキング16位・観客数2万超えを誇る「アメリカ男子サッカー」のリアルの画像
現在のMLSには、元日本代表キャプテン吉田麻也ら世界各地から名手が集い、「サッカー大国」になりつつある。撮影/原悦生(Sony α1使用)

 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム」。今回は、気になるあの国のサッカーについて。まずは、前半戦。

■元「サッカー不毛の地」

 昨年来、世界は1人のアメリカ人に振り回されている。

 アメリカを中心に、メキシコとカナダを加えた「3か国共同開催」で2026年のFIFAワールドカップ開催が決まったのは2018年の6月のこと。ドナルド・トランプ大統領の最初の政権時だった。ジョー・バイデン大統領時代(2021~25年)を経て、ワールドカップにおいては昨年12月の抽選会以降アメリカ大統領の存在感が急激に大きくなった。国際サッカー連盟(FIFA)のジャンニ・インファンティーノ会長の大統領への度を超えたすり寄りもあって、今や「トランプ大統領のワールドカップ」の観さえある。

 欧州と南米を中心に回ってきた世界サッカーの歴史。そのなかにあって、アメリカ合衆国という国は、長い間、日本を含めた「サッカー後進国」のひとつと見られてきた。「サッカー不毛の地」とまで呼ばれた時期もあった。アメリカは世界に冠たるスポーツ大国ではあるが、プロの団体球技としてはアメリカン・フットボールやベースボールなどの陰で人気のない競技とされてきたのだ。

 アメリカの女子代表が世界最強チームであることはよく知られている。女子ワールドカップで過去9大会中4回優勝、オリンピックでは過去8大会中5大会で金メダルを取っている。現在のFIFAランキングはスペインに次ぎ2位だが、これは例外的な状況で、2003年に女子のFIFAランキングが発表されるようになってから、多くの時間を1位で過ごしてきている。

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