サッカー日本代表は、敵地ウェンブリーでイングランドを撃破するという歴史的快挙で3月の英国遠征を締めくくった。親善試合とはいえ、世界屈指のタレント軍団からの初勝利は、2か月後に迫るワールドカップでの躍進を強く予感させる。だが、手放しで喜んでばかりはいられない。歓喜の裏には、世界基準との残酷なまでの「差」を示すデータが潜んでいた。このままでは本番で足元をすくわれかねない――。サッカージャーナリスト大住良之が、イングランド戦で突きつけられた「勝ってなお残る課題」を徹底検証する。
■パス数「704本」「306本」の意味
ウェンブリー・スタジアムでのイングランドに対する勝利は、本当に素晴らしいものだった。FIFAランキング4位、1966年大会以来60年ぶりのワールドカップ優勝も有力視されているイングランドに対し、アウェーで勝ったという事実は大きい。
三笘薫が決めた決勝ゴールも素晴らしかった。イングランドにパスを回され、押し込まれながらもGK鈴木彩艶が忙しかったわけではなく、チームとしての組織だった守備で相手の攻撃をはね返したのも見事だった。
しかし欲を言えば、もっと均衡の取れた試合にしてほしかった。「イーブン」とは言わなくても、もう少し攻撃の回数を増やし、相手陣でプレーする時間を増やしたい試合だった。
欧州サッカー連盟(UEFA)が公式サイトに掲載しているデータによれば、ボール支配率は「イングランド68%×日本32%」。シュート数は「19本×7本」、枠内シュートは「3本×2本(これはイーブンに近い)」、パス数はイングランド704本(成功626本=成功率89%)、日本306本(成功243本、79%)。CKはイングランド11本×日本1本。前後半とも数分間ずつ数回「日本の時間」と呼べるものもあったが、ほぼ1試合にわたって相手に支配された形だった。



























