アジア全勝優勝は「トルシエの悲劇」再来の予兆か、真価が問われる最強アメリカ3連戦【なでしこジャパン「アジア圧勝劇」に潜むW杯の落とし穴】(3)の画像
アジアを制したニルス・ニールセン監督。ただ、ワールドカップでの成功は約束されていない。撮影/原壮史(Sony α1使用)

 サッカー女子日本代表(なでしこジャパン)が、見事アジアカップを制した。6戦全勝、29得点1失点という残した数字も圧倒的だった。だが、この「圧勝劇」を手放しで喜んでばかりはいられない。対戦相手との戦力差や組み合わせの妙、そして決勝で露呈したフィジカルへの課題――。表面的な結果だけでなく、中身にしっかりと目を向ける必要がある。サッカージャーナリスト・後藤健生が、アジアカップ優勝からなでしこジャパンの現在地を読み解き、来たるワールドカップへ向けた「落とし穴」に警鐘を鳴らす!

■圧勝できた理由

 6試合を戦って全勝。29得点で失点は準決勝韓国戦での1のみ……。日本にとっては圧勝のアジアカップだった。

 だが、これはある意味で当然の結果だ。対戦相手との戦力の差は明らかだった。

 なにしろ、選手の大半が海外組。決勝戦の先発メンバーでは国内組はサイドバックで起用された高橋はな(三菱重工浦和レッズレディース)のみ。ほとんどの選手が世界最強のイングランド女子スーパーリーグに所属しているのだ。選手個々の力がこれだけ違えば、大勝しても当然のことだ。

 もちろん、守備を固めてくる相手を崩すことが容易な作業でないことは承知しているし、そんな戦力差が明らかな相手に対しても選手たちが少しも手を抜くことなく、戦いを続けたことについては敬意を抱かざるを得ないが、これだけ戦力差があったのでは、試合数をこなしても日本代表の強化にどれくらい役に立つのかと心配になってしまう。

 もちろん、選手たちが負荷の軽い試合でともに戦って互いの特徴を理解し、また、さまざまな組み合わせ、さまざまな攻撃の形をテストすることができるのはプラスではあろうが、それがワールドカップで対戦するような相手にどこまで通用するのかは未知数のままだ。

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