日本サッカーの発展は著しい。多くの選手が、本場のヨーロッパで活躍している。だが、忘れてはいけないのは、そうした選手たちが素晴らしい指導によって才能を開花させていることだ。サッカージャーナリスト後藤健生が、見逃してはならないプロの指導者たちを紹介する。
■浦和に完勝した東京V
3月14日に行われたJ1百年構想リーグ第6節の東京ヴェルディ対浦和レッズの試合は、前半14分に森田晃樹の正確なクロスに飛びこんだ染野唯月が軽やかなタッチで流し込んで東京Vが先制。東京Vはこの虎の子の1点を守り切って勝利したが、後半は「個の力」に優る浦和が猛攻を仕掛け、「勝負」という意味では互角の試合だった。
シュート数でも東京Vの11本に対して浦和が9本。他の数字を比べても、大きな差はなかった。展開としても数字的にも拮抗した試合だった。だが、内容的には東京Vの完勝だったのではないだろうか?
ここで「内容」と言うのは「自分たちがやろうとしたことをどこまで実行できたのか?」という意味である。
浦和は、とくに後半は攻め込む回数は多くあったが、マチェイ・スコルジャ監督自身が語ったようにファイナル・サードでの質も速さも欠けており、決定機をつくれなかった。
東京Vというクラブは前身の読売サッカークラブ時代からテクニックを重視するクラブであり続けた。ジョージ与那城(後に日本国籍取得)やラモス瑠偉など、ブラジル出身選手の影響の下、ドリブルとパスで中央突破するサッカーは当時の社会人(実業団)チームにはないスタイルでとても魅力的だった。初期の頃から高校生年代以下の育成組織も整備されていたが、そこでも従来の高校サッカーのスタイルとは違ったスタイルを追求し、テクニシャン系の名選手を数多く育ててトップチームに送り込んでいった。
伝統は現在まで脈々と生きており、現在でもこのクラブの下部組織からは数多くのJリーガーが育ってきた。
浦和戦で唯一のゴールをアシストした森田なども、最近の“傑作”の1人であろう。まさに、読売クラブのDNAを宿したテクニシャンである。










