■最高傑作のさらなる成長

 だが、日本サッカーリーグ時代ならいざ知らず、テクニックだけで勝てる時代ではない。

 その東京Vに城福浩監督が新しい哲学を注入しながら戦っているのが現在の東京Vだ。

 2022年のシーズン途中から監督に就任した城福監督は戦う姿勢を注入してチームの姿を変え、翌シーズンには16年ぶりのJ1昇格を果たし、毎年のように主力選手を引き抜かれながらも若い選手を育ててチーム力を鍛え上げている。

 東京Vが生んだ“傑作”森田も、まさにそんなクラブの変化を体現したような選手になった。もともと中盤でテクニックを生かしてパスをさばくタイプの選手だった森田だが、城福体制の下で運動量を増やし、中盤の争いの中でボールを奪い、自らが攻撃に積極的に上がっていく選手――つまり相手にとって怖い選手となってきているのだ。

 浦和との試合では、チーム全員がボールを前に進める積極的な姿勢が目についた。

 立ち上がりこそ浦和に良い形をつくらせてしまったものの、城福監督がたたき込んだ戦う姿勢を発揮。浦和のボールに対して中盤で相手を囲い込んでボールを奪う場面を増やしていった。そして、奪ったボールを正確につないで、早いタイミングで前線につけていく。

 ボールを奪う部分は足を止めずに守備の約束事を徹底することで成し遂げられる。その後、ミスすることなくボールをつなぐためには、戦術的な工夫が重要になる。

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