ボール支配率89.5%、シュート数30本対0本、パス成功676対27「サッカーと呼べない」試合はなぜ生まれるのか【なでしこジャパンが直面した「アジア杯」の大問題】(2)の画像
谷川萌々子(右)らの得点で、チャイニーズ・タイペイ相手に2ー0で勝利した日本。だが、得点以上に一方的な試合だった。撮影/渡辺航滋(Sony α1使用)

 オーストラリアで開催されている「AFC女子アジアカップ」に参戦中のなでしこジャパン。初戦のチャイニーズ・タイペイ戦こそ2-0で辛勝も、第2戦のインド戦では11-0と圧勝。開幕2連勝を飾り、早くも決勝トーナメント進出を確定させた。この大会、来年に控える女子W杯のアジア予選も兼ねているが、準々決勝で勝利すると、日本はW杯出場権を獲得できる。ただ、喜んでばかりもいられないというのは、サッカージャーナリストの大住良之。どうしてなのか? 

■日本の初戦の「見たことのない」数字

 そもそも12チーム参加のこの形式の大会を、「ワールドカップ予選」と位置づけることに無理がある。

 その結果が、超消極的な戦いだ。抽選の結果、日本(なでしこジャパン、FIFAランキング8位)が入ったC組には、ベトナム(36位)、チャイニーズ・タイペイ(40位)、インド(67位)が入っている。ランキングだけで評価するつもりはないが、誰が見ても日本の首位突破は濃厚で、グループは「1強3弱」の様相であり、3チームはまず2位を目指し、3位でも得失点差のマイナスをできるだけ少なくしようとする。当然のことだ。

 その結果、日本の初戦は「サッカー」とは呼べないものとなった。チャイニーズ・タイペイは、昨年のE-1東アジア選手権で「WEリーグ勢」を中心に構成した日本に0-4で敗れたものの、フルメンバーの中国に2-4、韓国に0-2と奮闘した。しかし今回、3月4日にパースで行われたアジアカップの初戦では、日本を相手に自陣でひたすら守るサッカーに徹した。日本は圧倒的にボールを支配してチャイニーズ・タイペイのペナルティーエリアを包囲するように攻め立てた。結果は2-0だったが、あまり見たことのない一方的な試合だった。

 AFC発表の記録によれば、ボール支配率は日本の89.5%に対し、チャイニーズ・タイペイは10.5%。90分間で日本が出したパスは749本で、成功率は90.3%だった。一方のチャイニーズ・タイペイは90本で30.0%。成功したパス数で比較すると676本対27本。シュート数は30対0だった。 

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