蹴球放浪家・後藤健生はサッカー観戦のためなら、どこへも向かう。たとえ山の上にあろうとも、労力を厭うことはない。場合によっては、登山のように坂を上ることもある。ヨーロッパに負けない急坂を、日本国内で楽しみながら。
■最高にスリリングな3か月間
前回は、香港の南華体育会のメンバーになることを名誉を込めて「入山する」と表現することがあるというお話でした。
たしかに、南華体育会の本部があるのはキャロライン・ヒルという丘の上ですが、たいして高い丘ではありません。「山」というのは、あくまでもキャロライン・ヒルを「山」に見立て、また名門クラブでの活動を修行場としての寺に喩えた比喩でした。
だが、サッカー観戦のためには実際に山を登らなくてはならないこともあります。
今から28年前の1998年。日本代表はワールドカップに初めて出場することになりました。
前年に行われたアジア最終予選。「海外組」など一人もいない時代。9月から11月までほぼ毎週試合が行われました。そして、マレーシアのジョホールバルで行われた第3代表決定戦でイランに勝利して、岡田武史監督の日本代表はようやくワールドカップ出場権を手に入れたのでした。
あんなスリリングな3か月は、二度と経験できないでしょう。








