■入口は「世界で最も危険な空港」

 当時、香港はまだ英国の植民地でした(中国へ返還されるのは1997年)。そして、香港の空港は今とは違って、市街地の真っ只中にある啓徳(カイタック)空港でした(同空港の跡地には、2025年に5万人収容のスタジアムなどのスポーツパーク=啓徳体育園がオープンしました)。

 このとき、僕は大学院時代に知り合ったマカオ人が持っていた高層アパートの一室に泊めてもらっていたのですが、空港にも近い場所にあったので、部屋のベランダに出て眺めていると、本当に着陸しようとする大型旅客機を真横から眺めることができました。操縦席に座っているパイロットの顔まで見えました。

 啓徳空港は都心にあるので世界一便利な空港でしたが、同時に高層ビルが立ち並ぶ中を大型機が発着する世界一危険な空港でもあったのです。

 啓徳空港は1998年に閉鎖され、現在の九龍半島沖にある大嶼山(ランタウ島)に新しく建設された現在の香港国際空港に移転しました。

 香港滞在中には、当時は簡単には入国できなかった中国をのぞきに行ったり、九龍半島を歩き回ったりして楽しみました。また、大晦日には現地の放送でNHKの紅白歌合戦を生中継したのを観ることができました。

 今では、海外でNHKの番組が見られるのは当然のことになりました。いや、インターネットを駆使すれば、世界中のどんな映像でも観ることができます。しかし、当時はまだ日本の番組が海外で見られるのはたいへんに珍しかったので、広東語に吹き替えられた紅白歌合戦を興味深く視聴したのも良い思い出となりました。

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