■J1昇格に届かなかった根本的な原因とは

 仙台は、なぜ「勝ってもおかしくない試合で勝ちきれない」のか。理由は複数あるのだろうが、絶対的なストライカーの不在はそのひとつにあげられるだろう。

 今シーズンを迎えるにあたって、22年途中から3シーズン期限付き移籍でプレーした中島元彦がチームを離れた。24年にチームトップの13得点を記録した彼の代わりとなる得点源を、しっかりと確保できるのか。中島がいても届かなかったJ1の扉を開くためには、彼と同等かそれ以上の数字が期待できるストライカーがほしいはずである。

 チームは即戦力としてFW宮崎鴻、FWグスタボを獲得した。宮崎はキャリアハイの8ゴールを記録したが、グスタボはわずか4試合の出場で1得点も記録していない。加入2年目のエロンは、3ゴールに終わった。

 夏の移籍市場では、J3の高知ユナイテッドFCで得点を量産していたFW小林心を獲得した。それが悪いとは言わない。ただ、15試合出場で3ゴールという成績は、得点力アップに直結するものではなかった。Xファクターとは成り得なかった。

 J2リーグ優勝でJ1昇格を決めた水戸ホーリーホックは、渡邉新太が得点ランク4位の13ゴールを記録した。2位でJ1昇格を決めたV・ファーレン長崎では、MFマテウス・ジェズスが19ゴールを叩き出して得点王となった。

 3位のジェフユナイテッド千葉では、FW石川大地とFWカルリーニョス・ジュニオが、ともに10ゴールをマークした。4位の徳島ヴォルティスでは、ルーカス・バルセロスがランク3位の14得点を叩き出している。

 仙台では郷家友太が、チームトップの10得点を記録した。彼はストライカーではない。得点力に優れたMFである。2トップの一角でもプレーできるものの、2列目からゴール前へ飛び込んでいく形こそが、彼の得点能力をもっとも引き出せる起用法だ。

 森山監督のもとで戦ってきた2シーズンで、守備は整備されてきた。今シーズンの失点「36」は、リーグ最少4位だ。

 J1昇格のために必要なのは、2ケタ得点を取れるストライカーである。

 そのために、既存の戦力の底上げをレベルアップを促すのか、新たな戦力の獲得に動くのか。過去2シーズンの戦いを見れば、答えは出ている。

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