■ついに迎えた歓喜の瞬間

 とにかく早いうちに1点が欲しい状態で迎えた後半、水戸は早々の1分に多田圭佑がゴールを決めた。先制点で硬さが一気にほぐれたのか、前から積極的に追うプレーを続けて主導権を握ることに成功。後半20分には、山本隼大が豪快な一撃でゴールネットを揺らし、点差を2点に広げた。

 そして終了のホイッスルとともに歓喜の瞬間が訪れた。

 自分たちの勝利でJ1昇格を確定させた選手たちは喜びを爆発。その後、長崎が引き分けたことでJ2優勝も手にした。2000年のJリーグ参入から26年に渡ってJ2で戦い続けてきた「J2の番人」が、ついに悲願成就の時を迎えた。

 財政難による存続危機もあった水戸は、様々な困難を乗り越えながらJリーグのクラブとして生き抜いてきた。田中マルクス闘莉王、前田大然小川航基伊藤涼太郎ら、期限付き移籍でやってきた若い選手たちが出場機会を得て羽ばたいていったが、クラブはJ2から抜け出せなかった。

 チームを指揮した森直樹監督は、2005年に選手として水戸で引退すると、翌年にはユースチームのコーチに就任し、2024年の監督昇格まで指導者としてキャリアを積み重ねてきた。今季も決して予算に余裕があるわけではなかったが、見事な「戦いぶり」で、これまで手にしたことのない「結果」を手にした。

 歓喜に沸くスタジアムの中で、指揮官、選手たち、さらにクラブの歴史を象徴するレジェンド・本間幸司(現クラブ・リレーション・オーガナイザー)もシャーレを掲げた。サポーターは涙を流しながら、堂々と胸を張る。クラブが長い時間をかけて積み重ねてきたものが、ついに結実した。


■試合結果

水戸ホーリーホック 2-0 大分トリニータ

■得点者

46分 多田圭佑(水戸)
75分 山本隼大(水戸)

PHOTO GALLERY 【激写9枚】J1初昇格!宙に舞う森直樹監督!多田圭佑の情熱ヘッド!レジェンドもシャーレアップ!悲願成就のケーズデンキスタジアム水戸!サポーターも満面の笑顔!
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