今シーズンのルヴァンカップ覇者が決まった。11月1日に行われた決勝で、サンフレッチェ広島が柏レイソルに3-1で勝利したのだ。この試合で両チームは、それぞれ「新たな姿」を披露したという。どういうことか。サッカージャーナリストの後藤健生が「Jリーグの行方」すらも左右しかねない、その「変貌」と「進化」について徹底解説する!
■「安定していた」広島の最終ライン
前半開始から、広島の先制ゴールが生まれるまでの時間は一進一退ではあったが、柏がこのようなさまざまな仕掛けを駆使して主導権を握った。そして、実際にチャンスにもつながった。
6分には中央で最終ラインに下がった戸嶋からもう1人のボランチ、中川敦瑛、瀬川と縦パスがつながったが最後はオフサイド。9分には右サイドで古賀を起点に瀬川祐輔、原田亘などが関わってゴール前にボールを入れることに成功。23分には古賀太陽から相手のライン間の位置を取った瀬川に鋭いくさびのパスが入る。
こうして、やや柏優勢の展開ではあったが、広島の守備が崩れたわけではなかった。
いろいろと変化する柏の動きに広島の選手がいちいち対応していたら、陣形を崩されたかもしれないが、広島の選手たちはパスを回されても冷静に、基本ポジションを崩さずに対応できていた。
というのも、広島の最終ライン(右から塩谷司、荒木隼人、佐々木翔)が安定しているからだ。
このところ、広島はMFの田中聡が離脱した時期もあり、塩谷がボランチで起用されることも多く、それに伴って左CBが本職の佐々木が塩谷不在の右に回ることもあった。
だが、田中が復帰したことで、広島の3バックは本来の形に戻っていた。
塩谷、佐々木という36歳のベテラン2人に29歳の荒木という3バックは、おそらくJリーグ最強のCBだ。これに、日本代表GKの大迫敬介を含めた中央の守備があるから、MFや前線の選手は安心してプレーできる。
そもそも、広島はボランチもできる塩谷がMFに上がって攻撃に参加する場面は多いが、基本的には(柏と比較すれば)オリジナル・ポジションを守りながらプレーするチームだ。
その結果として、柏がシステムを変化させ、選手の立ち位置を変えて戦術的に仕掛けてきても、広島の守備陣は大きく崩れることはなかったのである。









