「元日本代表」千葉MFがタクト!「水戸の佐野海舟」が躍動!「意識の差」が勝敗を分けた激しくもフェアな一戦【水戸VS千葉「最高の名勝負」が示した日本代表「ラウンド16突破」のカギ】(1)の画像
ラストプレーで劇的な決勝ゴールを決めたのは、ジェフユナイテッド千葉の杉山直宏。J2上位対決で素晴らしいゲームが繰り広げられた。撮影/重田航

 例年、熾烈な昇格争いが繰り広げられるJ2。今シーズンもまさに「死闘」と呼ぶにふさわしい対戦が続いている。第33節では、首位の水戸ホーリーホックと3位のジェフユナイテッド千葉が激突。J1昇格への大事な試合でありながら、希代の名勝負となった一戦を、サッカージャーナリスト後藤健生が熱意を込めて分析する!

■ラストプレーでの「決勝ゴール」

 激しい昇格争いを繰り広げているJ2リーグの第33節。水戸ホーリーホック対ジェフユナイテッド千葉の試合は、後半もアディショナルタイムに入り、5分が経過していた。

 千葉の小林慶行監督は92分に呉屋大翔米倉恒貴を投入。1点を取りに行く姿勢を明確にしていた。

 そして、93分には投入されたばかりの米倉のシュートが水戸ゴールのポストを叩く。さらに、その後も攻撃を緩めない千葉の猛攻が続き、左CKをゲットした瞬間に時計の針はアディショナルタイムの目安「5分」を過ぎた。千葉にとっては、これが最後のチャンスだった。

 品田愛斗の蹴ったCKのボールを、水戸のGK西川幸之介が両手のパンチングで逃れるが、これをペナルティーエリアのライン付近で受けた千葉の杉山直宏が一度切り返しを入れて、右サイドに持ち込んで、右足でファーサイドのゴールネット目掛けて蹴り込んだ。

 劇的な決勝ゴールに喜ぶ千葉の選手たちが輪をつくる中、岡部拓人主審が試合終了のホイッスルを吹いた(50分54秒)。

 前日の試合でV・ファーレン長崎が勝利していたため、千葉戦の敗戦によって水戸は首位から陥落。一方、水戸と千葉以外のJ2リーグ上位陣がそろって勝利していたため、この試合を引き分けると5位に落ちるところだった千葉は3位キープに成功した。

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