■「引き分けでもいい」という気持ち

 小林監督は、92分に呉屋と米倉を入れて前線の並びを入れ替えたが、90分間、ほぼ互角に組み合ったままの終盤戦だっただけに、選手を替えることによって攻撃力を増やすことはできるが、同時にそれまで保っていたバランスを崩す可能性もある。つまり、あの時間での交代にはリスクもあった。

 だが、小林監督にためらいはなかったはずだ。自動昇格に必要な「2位以内」を目指すことを考えても、千葉にとってはどうしても必要な勝点3だった。

 一方の水戸は、そのままスコアレスで引き分けても長崎と勝点で並ぶものの、得失点差で首位は維持できる状況だった。同時に、昇格争いのライバルである千葉に勝点差を詰めさせないで、千葉との勝点差を6のままで維持することもできたはずだった。

「引き分けでもいい」という気持ちは、当然、水戸の選手たちの間にもあったはずだ。その、両者の意識の差が試合最終盤での千葉の猛攻につながったのかもしれない。これはあくまでも結果論だが、水戸としてはアディショナルタイムに入ってからの時間では、完全に守備固めに入るべきだったような気もする。

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