狙い通りだった「中村敬斗の同点弾」「上田綺世の逆転弾」、いずれも起点は…、森保監督と日本代表の「11月シリーズ」の課題【サッカー日本代表「10月シリーズ」の収穫と課題】(3)の画像
ブラジル戦で値千金の逆転ゴールを決めた上田綺世。このゴールは日本にとって「理想的な形」だった。撮影/渡辺航滋(Sony αⅡ使用)

 サッカー日本代表の10月シリーズが終了した。何より目を引いたのは、ブラジル代表相手の史上初めての勝利だったが、今回の活動はワールドカップ優勝を目指す日本代表にとって、どのような意味があったのか。サッカージャーナリスト後藤健生が、10月シリーズの「収穫と課題」について検証する。

■崩れたブラジルの「メンタル」

 後半、2点を失った日本は攻撃に出るしかなかった。そして、積極的に前線からプレッシャーを仕掛けたところ、ブラジルの守備陣は意外に(いや、予想通り?)もろかった。

 52分、上田綺世のプレッシャーを受けたファブリシオ・ブルーノはバランスを崩すように信じられないキックミス。ボールは南野拓実の足元に収まり、南野が難なく1点を返した。

 そして、この1つのミスでブラジルはメンタル的に崩れてしまった。

 ブラジルの組織が崩れ、日本が勢いに乗っている最中の57分にカルロ・アンチェロッティ監督は3人の交代を使った。ゲームの流れを変えるためではない。あくまでも戦術テストのための交代だった。

 ビニシウスを下げて、代わりにもう1人のエース、ロドリゴを投入したのだ。

 ビニシウスは「偽の9番」でプレーしていたが、ロドリゴに与えられたのはいわば「偽の11番」。中央の「9番」のポジションには、ジョエリントンが置かれ、ジョエリントンが開けたスペースを左サイドから中央に入っていくロドリゴに利用させようというテストのようだった。

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